吸血姫は眠りに誘われる1 ページ16
すやすやと寝息を立てているレイジを眺め、その幼い寝顔に思わず笑がこぼれる。
必死に眠気と葛藤していたレイジだったが、途中から目がとろんとしてきたので寝かしつけた。眠る間際に意識が朦朧としているレイジが「姉様との時間を眠ることで無駄にしたくないのです」と呟いていたのを聞いた時は悶え苦しみ過ぎて本気で死ぬかと思った。
「おっも」
レイジが先程まで手にしていた分厚い本を手に取り、その重さに思わず声を洩らす。
片手だけでは支えきれず、両手で持とうと右腕をベットから出ようとする。だが、それは何かに引っ張られるような感覚と共に叶うことは無かった。
「おっと...」
重心が前に行って倒れそうになるのを気合で我慢する。このままでは愛しのレイジの体に倒れ込んで潰してしまう。Aはニヤける顔をそのままに腕に絡まるレイジを見た。
「ねえ...さま」
眉を下げ、懇願するかのような寝言を洩らすレイジに鼻血を吹き出さぬよう、紙を両鼻に詰め込む。到底人様にお見せできない酷い顔面であろうが、そんな事などレイジの国宝級に可愛いお顔に鼻血を吹き掛けるという惨状に比べたらマシである。否、比べるまでもない。
「大丈夫、レイジの傍にいるよ」
そう言葉をかけ、額にキスを落とす姉に安心したような表情で眠り始めるレイジ。
そんな姉の顔面は相変わらず酷い。知らぬが仏である。
片手をレイジにシールドされているので、本を持ち上げることは諦めテーブルに置いたまま捲ることにした。栞が挟んであるページに目を通してみる。頭痛が痛くなってきた、すぐ閉じた。
「にしても、もうこんなに読んだんだ。ひぇ...」
ラストページまで残り数十ページという所に栞を挟んでおり、Aが声をかけなければ今頃二冊目に到達していたのだろう。尚、声を掛けたことへの後悔などという概念はAの辞書には存在しない。何を天秤にかけても弟達との時間ほどに価値のあるものは無いのである。
「あっ、そうだ」
Aはメモ帳にすらすらと文字を書き、裏表紙の裏に貼り付けた。
内容は本を読み切ったことをベタ褒めする言葉と、レイジの事をどれほど愛しているかを永遠に綴った物である。直ぐにページが埋まり、三枚の紙を使ったが、これでも足りないぐらいだ。
Aはレイジがメモを発見した時の反応を想像し、顔を綻ばせる。
＿＿『何を天秤にかけても弟達との時間ほどに価値のあるものは無い』
この言葉を自分自身の意思で覆すことになる未来も知らずに。
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もこ(プロフ) - 初コメ失礼しますね！私逆ハー大好物なので嬉しいです！ディアラバのキャラ全員推しなので嬉しいです！更新頑張ってくださいね！ (2023年4月17日 21時) (
レス) @page7 id: 3b02df20c8 (このIDを非表示/違反報告)
しゅり(プロフ) - 続きが気になります！更新楽しみにしてます！ (2021年2月13日 3時) (レス) id: 2d9e53b3e9 (このIDを非表示/違反報告)
*SSU* - つ・づ・き・が・た・の・し・み♪ (2020年4月28日 10時) (レス) id: b6be28c7e2 (このIDを非表示/違反報告)
まゆた - つづき楽しみにしてます！ (2020年3月8日 10時) (レス) id: 6c85c6c733 (このIDを非表示/違反報告)
神 - わぁー！ 返信ありがとうございます。応援しています！ (2019年10月10日 21時) (レス) id: 090390c6c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜蘭 | 作成日時：2019年5月15日 19時
