キミを知らない世界。【ハガレン】

No.18 ページ18

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私は、街の風景を見渡しながら、一歩ずつゆっくりと歩みを進めた。
今日はたくさんの場所へ足を運んだが、荷物などでゆっくりと周りの景色が見れなかった為、こうしてじっくりと探索する時間がほしかった。

時折、心地良い風が吹いて、清々しい気分にさせてくれた。


A「素敵な街だなぁ…」


グレイシアさんにはまっすぐ帰ると言ったものの、何気なく路地裏を横目で見ながら歩き、あの地下通路から出た路地裏を探していた。

できれば二度と近づきたくもないが、おそらくいつかは行かなくてはいけない場所だと感じていた。
私の過去が分かる手がかりが必ずあるはずだから…。
ただ、あの時は無我夢中で男たちから逃げていたため、あの路地裏までの道をまったく覚えていなかった。


ただ、昨日の今日で、すぐに見つけなくてはと焦る必要もない。
ゆっくりと、今の生活に慣れ、ゆっくりと、自分のことも思い出していけばいい。
そんなふうにぼんやりと考えながら歩いていると、路地裏のほうから男の人のうめき声が聞こえた気がした。

正直、路地裏には良い思い出がないため、行くべきかどうか少し躊躇ったが、誰か怪我をしているのかもしれないという心配のほうが勝ち、私は声が聞こえてきたほうへ向かった。


A「聞き間違いかもしれないし…」


というか、そうであってほしい…。
そう強く思いながら、路地裏をまっすぐ進んでいくと、数メートル先に道が開けているのが見えて、また、人の話し声も聞こえてきた。
私は、路地裏の影からこっそりと身を出し、様子をうかがった。

私がいる路地裏を含め、T字路になっているのだと思っていたそこは、どうやら工事現場のようで、路地裏から出て左側はずっと道が続いているようだが、右手側には建設中の建造物が建っており、行き止まりであった。

その建物の前には、青い軍服を着た男女が二人と、一般市民のような装いの男が一人、互いに向かい合って立っていた。
その立ち位置、また彼らの会話から、どうやら軍人が、男を追い詰めているようだった。


「無駄な抵抗はもうよせ。」

「うるせぇ！お前らみたいな軍の犬の言うことなんか誰が聞くかよ！」

「やれやれ、ひどい言い草だな。」


軍人の二人は、私に背を向けて立っているため、二人の表情などはわからないが、わーわーと怒鳴り散らしている男とは裏腹に、男の人の余裕そうな口ぶり、また、女の人の毅然な態度から察するに冷静な様子だった。

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