5話 ページ6
風の都に来た翌日から早速訓練が始まった
じっちゃんに戦い方を学んでハクと実践した
生き抜く上での知恵や、国の情勢も教わった
たまにハクが悪知恵を吹き込んできてきたが...
今までは、誰も教えてくれる人なんていなかったから
ひたすら本を読み、紙に書いて文字を覚えた
剣術も自分なりのやり方だったから不格好だったけど、じっちゃんに教わって洗練されていった
ﾑﾝﾄﾞｸ「Aは筋がいい、ハクにも負けないくらい強くなるぞ」
A「っ！」
ﾊｸ「まっ、俺に着いてこられる奴なんていねぇけど」
ﾑﾝﾄﾞｸ「また調子に乗りおって！」
私はじっちゃんとハクのやり取りを見ながら思った
A「(こんな楽しい毎日が続いたらいいのに)」
でも、私にそんな自由はなかった
A「え...？」
ﾑﾝﾄﾞｸ「陛下から今すぐ帰ってくるようにと文が届いた」
A「(私に、自由は許されない...何故忘れていたんだろう)」
ﾑﾝﾄﾞｸ「A？どうした」
A「いえ、なんでもありません
今までお世話になりました、今すぐ城へ戻ります」
私は"ムンドク様"に一礼をして自分の部屋に向かった
荷物をまとめて、来た時と同じ服に着替え
馬小屋に向かった
A「カイ、帰るよ」
私は鞍と手網をカイに括りつけて、門の近くまで
引いて歩いた
ﾊｸ「A！」
A「ハク、私すぐに戻らなきゃ行けなくなったの
これでさよならね」
ﾑﾝﾄﾞｸ「そんな事言わないで下され
我ら風の部族は皆、貴女を家族だと思っていますぞ」
A「ありがとう」
ﾑﾝﾄﾞｸ「そうだ、この服を持っていってくだされ」
そう言ってムンドクが渡してきたのはハクと色違いの服だった
私はその服に顔を埋めた、自分の顔を2人に見られないように
A「っ！...帰りたく、ないなぁ((ﾎﾞｿｯ」
ﾊｸ「A...」
A「(でも、私はあの城へ帰らなければならないから...)...服、大切にするわ、またいつか」ﾆｺｯ
そう言い残して、カイにまたがり風の都を出た
ﾊｸ「アイツ、作り笑い上手ぇよな」
ﾑﾝﾄﾞｸ「作り笑いをすることに慣れてしまったんだ」
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作者名：カッパ | 作成日時：2021年8月5日 1時
