少女ハンターは霞の使い手 その参

〇 ページ20

「あんたビノールトだわね?｣

ビスケは男に確認する。実はこの男・ビノールトは賞金首ハンターなのに第一級殺人犯でもあるのだ。

「好物は人の肉。特に20才の女の肉がいいんだっけ？｣
「……22才だ｣

その言葉にアズミが反応する。彼女の表情は無表情だ。

「始め!!」

ビノールトは開始の合図とともに膝をついて絶状態になった。

「何ボサっと見てるんだい？傷んだ箇所の回復をはかってるんだわよ!やらせといていいの?｣

ビスケの指示にアズミは走る。

(霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り)

ビノールトは掠めただけで済んだ。

(へえ。スライディングに近い動きで斬撃を繰り出すのね)

アズミの技にビスケは観察する。一方、回りこんでいたキルアはアズミが作ってくれた隙をつき、飛びかかるが、攻撃させまいとビノールトはハサミを振る。キルアはギリギリ避けたため、頬を切られていた。するとビノールトは咳き込む。攻撃のチャンスとゴンも地面を蹴るがハサミを構えられまともに近寄ることが出来なかった。

(こうなったら…)

アズミはそっと小石を出した。

ビュッ

「!」

ガキン

ハサミで受け止められた。その様子にゴンは思いついたのか岩を破壊する。ガラガラと崩れた岩の一部を持ち上げ、ゴンはビノールトに突撃していくのだ。

「なるほど。あれだけ大きかったら避けないといけない」

アズミは納得する。キルアとアズミはゴンが壊してくれた岩の一部を投げた。岩を投げてビノールトが避けた先を攻撃。キルアとアズミが距離を取ればゴンがビノールトを狙い岩を投げる。それの繰り返しだ。半日経ってもノンストップで攻撃する3人。大きな岩を持ち上げまだまだいけるといった表情だ。

(死に直面することで自分達の全力を引き出すことがようやく出来たわけだ。経験不足ゆえギアの上げ方を知らなかったんだわね。まあ彼女の場合、経験豊富だけどそれゆえに念を体に使わないのね。)

ゴンとキルアは敵の動きの読み方や筋肉の動かし方、力の緩急や強弱諸々なっていない。逆にアズミは念を木刀もどきに流したり、防御の時だけに使っている。

(この3人……原石!)

ビスケは3人を見事な宝石に変えたいと思って来た。

「ゴン、キルア。一旦離れるよ」
「「!」」

アズミの言葉にゴンとキルアは一旦ビノールトから離れる。

「どうしたのアズミ」
「なにか作戦でも考えたのか?」
「あいつの周りは岩だらけ。だから私たちを見失っている。そこに物音でも聞こえたら?」

その言葉に2人は分かった

〇→←最初の修行！第一級殺人犯とガチンコ勝負！

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