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その八 ページ10

どろろが確認してみると大金が隠されていた。実はこれは今まで万代が喰った旅人の金。村はその金で贅沢な暮らしをしていたのだ。なので当然どろろは「最低だ!」と怒る。するとあの鈴の音が聞こえた。その音を聞いた名代は怯えた。最初に食わせた旅人の所持していた物だったのだ。

暫くの間、その鈴の音が竹林の中に響いた。


「悪かったよ。見えてなかったのはおいらだった」

どろろは青年に謝罪する。当然耳の聞こえない青年は答えない。

「魂の炎が見えているなら気づいてくれてるよ」
「お嬢さんの言う通り、案外気持ちは通じるよ。気にすることはない、目が見えてるもんなら騙されて当然さ」
沙世と坊さんが言っていると「ていうか似てたんだ」とどろろは言う。
「死んだおっかちゃんに…似てた」
「そうかい…」
「だからか」

亡き母にそっくりな人が死ぬのは嫌だ。其の思いで青年を止めていたのだ。すると青年はどろろの前に立つ。

ぽむ

「何だよ急に!/////」

なぜかどろろの両頬を触れたのだ。いきなりのことにどろろは赤くなる。

「もしかして…元気出せって言ってるのかも」
沙世の言葉を聞いたどろろは慌てて青年を押しのける。

「ガキ扱いすんな!名無し野郎のくせに!」

すると青年は地面に何かを書き始めた。字が書けるようだ。沙世はそれを見て言った。

「百鬼丸」
「あんたの名前だね?」

沙世と坊さんの言葉にどろろは「へー」と言う。青年の名前が今、やっとわかったのだから。

「やっとわかった!百鬼丸か!」
「じゃあこれからは百鬼丸兄さんって呼ぼうかな?」

沙世が百鬼丸に言うとだ。百鬼丸は今度は沙世の両頬に触れた。

「え?今度は私!?/////」
「名前で呼んでくれたのがうれしかったんじゃね?」

しんみりした空気が消えた時だった。また百鬼丸の体がガタガタ震えたのだ。
「どうしたんだよ!おい、痛いのか!?」
「百鬼丸兄さん!?しっかりして!!」

慌てるどろろと沙世。どろろの言う通りかなり痛そうである。実は痛覚が戻ったのだ。

その日の晩、火の熱さに好奇心から焚き火を踏んでしまい、沙世に「焚火は踏まない!!」と叱られたのは言うまでもない

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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