その七 ページ9
「鬼神だ」
「鬼神!?」
青年と沙世は走る。尻尾で弾かれたがすぐに立ち上がり、また攻撃に転じる。
万代も攻撃を仕掛けるが沙世が前に出る。
「姉ちゃん!あぶねぇ!」
慌てるどろろ。すると沙世は呼吸を変えた。
(呼吸音が変わった?しかも炎の色が)
坊さんは疑問符を浮かべる。沙世の呼吸音が変わったと同時に綺麗な青の炎が大きくなった。
(水の呼吸・肆ノ型 《打ち潮》)
波を打つような斬撃を喰らった万代。沙世相手だと分が悪いと思ったのか標的を青年にかえた。
すると攻撃の一部が青年の肩を貫く。
「痛くねえのか?」
その様子にどろろは心配してしまう。沙世は青年の肩を貫く攻撃を切り離そうとしたが、先に青年が万代の目を斬る。万代はその痛みに逃げ出す。追いかけようとした沙世と青年だが、名代が引っ張った蚊帳のせいで身動きが取れなくなった。沙世は「邪魔しないで!」と名代に怒る。
「万代様!お逃げ下さい!」
なんと名代は逃げることを促したのだ。逃げ出す万代。
「待て!!」
なんとか蚊帳から脱出した青年と沙世は後を追いかけた。
*
沙世達は竹林の中を走る。すると飛んできたのは竹やり。万代が投げてきたものだ。先に走っている青年がそれらを見事弾く。しかし飛んできた竹やりが多くなり、青年が纏っている外套に引っかかる。そのせいで青年は倒れてしまった。
「兄さんあぶない!」
「グアアアアア!!」
今度は沙世に竹やりを投げつける万代。しかし沙世は落ち着いていた。
(水の呼吸・参ノ型 《流流舞》)
沙世の動きは流れる水。その動きで竹やりを回避、そして攻撃する。そのおかげで青年は無事だ。
ちりーん
鈴の音がなった。万代がその方向を見る。それを見た沙世は一気に間合いを詰め、青年は高く飛ぶ。
(水の呼吸・壱ノ型 《水面斬り》)
沙世は胴体を斬り、青年は額を突き刺し、頭を細切れにした。倒れる万代。すると尻尾が女性の姿になった。
「間違いない お前は。よくもや生きていようとは」
「間違いない?」
様子からして本当に青年の事を知っていそうだ。それと同時にどろろ達が追いついた。
万代曰く「あれが奪いそこなった」と少しずつ鬼女の姿になっていく。
「残りを取り戻す気か?面白い!出来るものなら!!」
ドス!!
青年は話しなんて聞きたくないと言わんばかりに刀を額に突き刺した。
ちりーん
『!』
「やろうか」
昨晩の妖怪だった。その妖怪は消えていく。そこに何かあるのか。
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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時