その三 ページ35
さるの案内で岩山を登る百鬼丸達。すると百鬼丸と沙世が何かに気づく。
「隠れるよ!こっち」
沙世はどろろとさるを引っ張り、百鬼丸は自分から隠れる。少しして前から輿を持った男たちが歩いてきた。さるの姉・お梅はいない。
(もう頂上にいるみたい)
(じゃあ早くいかないと!)
(きっとおらぁの姉ちゃんの見張りがいる!これを使うぞ)
しばらくして頂上についた。平たい岩にお梅が座っている。離れたところに見張りがいたが一行は彼等の後ろから来ているので気づいていない。どろろとさる、沙世は頷く。どろろとさるは気づかれない様にゆっくりと彼らの後ろに近づいた。そしてさるが用意した太い棒を大きくあげ……
どごっ
頭を殴った。なかなか良い音なので、沙世はしばらく起きないと思っている。見張りが気絶している内にさるは近づき、彼女の手首を縛る縄を切る。しかしお梅は動かなかった。「あたしは自分から来たんだ、バケモンなんかに皆を食わせたくなくてね」と覚悟を決めている言葉をさるに言った。
「おらは姉ちゃんに死んで欲しくねえ」
「いいからお逃げ」
さる達が言い合っているとどろろが「オイラ達が退治してやるよ!」と現れた。当然、お梅は「退治するってどうやって…?」と聞く。どろろは「口とか腹とかかあるはずさ!そこをぶった斬るんだよ」と教えた。すると百鬼丸と沙世は気づく。例の化け物が近づいてきた。二人は刀を抜く。
「ほら兄貴達も任せろって」
「違えよ…、あいつが来たんだ!」
野生児であるさるも気づいたようだ。一面を黒い雲が囲んだ。目を覚ました見張り達は怯え、つい大きな声を出してしまう。
「そんな大きい声出すと…!」
どろろはやめさせようとしたが遅かった。見張り達は一段と黒い雲に吸い込まれる。しかし化け物にとってまずい味だったのか食いちぎられて吐き出された。その様子に覚悟を決めていたお梅も怯える。
「兄貴、あそこだ!…兄貴ってば? どうしたんだよ!」
「百鬼丸兄さん!口はあそこだよ!?」
どろろと沙世は言うが百鬼丸はなぜか動かない。そうこうしている内に正体を現した。正体は巨大百足だったのだ。さるに襲い掛かる百足。しかしお梅が守るために、突き飛ばす。………そして彼女は笑みを浮かべ……丸のみにされた。
「兄貴!姉ちゃん!来るぞ!」
「うん!(相手が大きいなら攻撃範囲が広い捌ノ型で…)」
沙世は構えているが百鬼丸はなぜか周りをきょろきょろしている。そうしている内に奴が来た。
53人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時