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さるの巻 ページ33

ブシャア!

吹き出す間欠泉。百鬼丸達は温泉地へ来ていた。
「う〜…きつい(鱗滝さん、具合悪くしそうな臭いだ)」
「くっせ〜…、卵が腐った臭いみてえ…」

しかし間欠泉から臭う硫黄に沙世とどろろは鼻を抑える。ふとどろろは疑問に思う事を言う。

「兄貴は平気なのか?そもそも匂いってわかんのか?」
「百鬼丸兄さんの鼻はまだ作りものだからわからないよ」

沙世の言う通り、百鬼丸の鼻は作り物。そのため匂いとはわからないのだ。にしても百鬼丸はまだ喋らない。せっかく声が戻ったのにだ。どろろはあることを提案する。

「よぉし! オイラ達と話す練習だ!! オイラ達に何か話しかけてくれよ兄貴っ」
「そうだね!兄さん、喋る練習してみよ?」

すると百鬼丸はある方向を見る。沙世とどろろも疑問符を浮かべながらそれを見た。
谷の向こうにいたのは白衣に身を包んだ男性たち。彼らが担ぐ輿には白無垢を着た花嫁が座っていた。

「花嫁行列だ。……でもなんか…、変だな?」
「うん。全然幸せそうな雰囲気じゃない」

沙世の言う通り、花嫁たちは幸せそうな雰囲気ではない。行きたくない。そんな感じだ。

その時だった。

ザザザザザザザザザ……


「「!?」」


すると百鬼丸達がいる崖上から狼の毛皮を被った少年が凄い勢いで降りてきたのだ。
驚く沙世とどろろ。そして少年は花嫁行列に向かって矢を放った。しかし矢は風に飛ばされ、行列より後ろ、しかも離れたところに刺さった。それを見た少年はまた矢を放とうとする。

「ちょ、待てよ!」
「いったいどうしたの!?」

どろろと沙世は慌てて少年の前に出た。

「何すんだおめえら!」

少年は怒鳴る。

「めでたい花嫁に矢なんか飛ばしやがって! どういうつもりだよ!」
「なんでこんなことするの!?」

二人が聞くと少年は「はははは!」とおかしそうに笑う。

「めでたくなんかねえ! 姉ちゃんはな、化け物の嫁になりに行くんだ!」
「化け物の嫁?」
「……まさか生贄?」

様子からして少年は生贄にされる姉を助けるために行動していたようだ。少年は「だからおらが止めねえと」と言い、追いかけようとする。どろろと沙世は止めた。

「去ね! おめえらごと射ンぞ!!」
「待って、今やったらあんたの姉ちゃんケガする!」
「その話、聞かせてくれよ。オイラ達、化け物にはちっとばかし縁があるんだ」

どろろの言葉にポカンとする少年。しかし姉を助けてくれるとわかったのか「こっちだあ」と言い、ある場所へ案内した。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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