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その四 ページ24

「うう…あああああああ!!!」
「「!?」」

怒り狂った百鬼丸が兵達を斬り殺していた。沙世は坊さんの言葉を思い出す。

『穴蔵から出て来たもんが、鬼だったって事にならねえようにしなよ』

「鬼になっちゃう」

沙世は走る。どろろも何かを思ったのかミオが握っていた袋を取り、百鬼丸の方へ向かった。

「兄さん!もうやめて!!」
「やめろ兄貴!やめてくれ!」

沙世とどろろは百鬼丸にしがみつく。

「止めてくれ! 鬼になっちゃダメだ!!頼む、頼むよ兄貴!兄貴! 姉ちゃんが持ってたんだ!!」
「え?」

ミオが持っていた物、種籾だ。どろろは言う。

「ちゃんと侍から取り戻したんだよ田んぼを取り戻す為に…」

三人はゆっくりと座り込んだ。

「姉ちゃんは負けてねえ!兄貴も負けないでくれよ…! 頼むよ…!!」
「………私からもお願い。百鬼丸兄さん。自分を慕ってくれたタケくん達を……綺麗な歌声で癒してくれたミオさんを…このままにするの?冷たい地面にずっと置いとくの?」

自分に抱きつき涙を流しながら言う二人の言葉に百鬼丸はゆっくりと立ち上がる。それを見た沙世とどろろは離れた。進んだ先に居たのはミオ。刀の腕で器用に抱き上げる。

するとだ。

「…み…お…」

百鬼丸はミオを抱きしめ、彼女の名前を呼んだ。

〜翌朝〜

寺の焼け跡にはミオ達の墓が出来上がっていた。どろろは彼女の形見となった種籾を百鬼丸が持っていたお守りに入れ、百鬼丸に渡す。その様子に沙世はぽつりと呟く。

「……錆兎兄さん」
「?」
「誰?」

どろろの問いに沙世は答える。

「昔、死んじゃった兄弟子。…生きてたら丁度百鬼丸兄さんと同い年だね。その人が昔言ってたの。
”大切な人が死んでもお前は絶対死ぬんじゃない。繋いでくれたその命を、託された未来をお前も繋ぐんだぞ”って。……百鬼丸兄さん、どろろ。この言葉覚えて上げてね」

その言葉に百鬼丸とどろろはしっかりと頷いた。三人はゆっくりと歩きだす。



♪赤い花摘んで あの人にあげよ
あの人の髪に この花さしてあげよ
赤い花 赤い花 あの人の髪に
咲いて揺れるだろう お日様のように♬





ミオの歌声が聞こえた気がした。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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