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守子唄の巻・下 ページ21

「百鬼丸兄さん、ごめんなさい。私が判断を間違えたばっかりに。
それにどろろとの約束思いっきり破っちゃって」

落ち込む沙世にどろろは「あー…無理もねえって」と気にしてなんかいないと言う風に言う。百鬼丸も同じことを考えているのか手のひらを沙世の頬に触れる。実は鬼神に手傷を負わせた際、百鬼丸は声を取り戻した代わりに生身である右足を奪われてしまったのだ。そのため、意識を取り戻した時、沙世は「殴って連れ帰るんだった」と女らしくない考えを百鬼丸本人の前で呟いた。そのせいで周りは青ざめたのは言うまでもない。そして現在、新しい足を作るため、百鬼丸は腕に仕込んでいる刀で太い枝を削っているのだ。一方、坊さんが言った百鬼丸にある赤い炎はミオの綺麗な歌声のおかげで落ち着いているらしい。本当にミオには頭が上がらない。しかし問題がある。坊さんが廃寺を去るとき、沙世とどろろに言った言葉だ。

『穴蔵から出てきたもんが鬼だったて事にならねえようにしなよ』

だからどろろは「どんどん食べて精つけなよ!」と言いながらごはんを百鬼丸の口に詰めこめたり(百鬼丸は思いっきりむせた)、「鬼神なんかになるわけねえよな!?」と聞いたほどだった。

後日

「「できたぁ!!」」

足が出来上がったのだ。沙世とどろろは声を上げ、百鬼丸は何となくだが嬉しそうな空気を出している。そして足を付けた後、沙世の腕を引っ張り外に出ようとした。

「ちょっと兄貴!?」
「兄さんどうしたの!?鬼神退治は駄目だよ!?」

その問いに百鬼丸は「わかっている」と言う感じに頷く。

「兄貴、どうしたんだ?」
「うーん…あ、修行に付き合ってほしい?」

沙世の言葉に、コクと頷いた。

「わかった。無理しない程度にやろ」

沙世の許可をもらい、百鬼丸は雰囲気が嬉しそうになる。

「そうだ。せっかくだからあること言っておくね」
「?」
「ある事って?」

百鬼丸とどろろは疑問符を浮かべる。沙世は真剣な表情であることを教えた。

「これは師匠から教わった事。”刀は折れやすい。縦の力には強いけど横の力には弱い。刀には力を真っ直ぐに乗せること。刃の向きと刀を振る時、込める力の方向は全く同じでなければならない”って。だから百鬼丸兄さんも刀を振る時はそれを心がけると良いよ」

「はー…なるほどな」

沙世の説明に百鬼丸は頷く。剣の師匠は育ての親だった。しかし声は届かなかったため、百鬼丸の剣術は我流。今の沙世の師匠の言葉は興味深かった。

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作者名:AYAAYA | 作成日時:2019年2月24日 21時

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