09. GW合宿 ページ9
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__5月2日 放課後
「お前らは穴だらけだ。勝つためにやることはひとつ。練習、練習、練習!ゲロ吐いてもボールは拾え」
「「オス!!」」
鵜養コーチのこの言葉から始まった4泊5日のGW合宿。
最終日には鵜養前監督の頃から因縁があったという音駒高校との練習試合も控え、体育館にはいつも以上の熱気が立ち込める。
放課後の練習を終え、学校所有の合宿施設にみんなで移動すれば着くなり早々「うおおおおっ」とテンションMAXの日向が館内を駆け回る。
「日向、楽しそうだね」
「1日中むさ苦しい連中と顔つき合わして何が楽しいのか…」
すでにゲンナリしているツッキーに「潔子さんが居る半径500m以内はむさ苦しくねェんだよ!」と反論する龍とノヤに「清水は帰っちゃうよ」と一撃必殺をみまうスガさん。
「滝さんも帰るんですか?」と日向に聞かれ「私はちょっと遠いから泊まるよ」と答えれば、目をキラキラさせながら宿舎へと入って行った。
「潔子さんは帰って、お前が残って…逆だったらどれほど幸せだったことか…」
「龍、晩ご飯に…やっぱり何でもない」
「何だよ!気になるだろ!」
「A、準備しに行こ」
「はーい」
後ろで吠え続ける龍を無視し、潔子さんと晩ご飯の準備をするため部屋に荷物を置き、休む間もなくキッチンへと向かう。
合宿初日のメニューはカレー。
作っている最中から鼻孔をくすぐるスパイスの香りが館内に広がり、呼び込む前からお腹を空かせたみんなが自然と食堂に集まって来る。
「「いっただっきまーーす!!」」
少しだけ日常から切り離された空間、いつもより大人数で食べるカレーは今まで食べた中で1番美味しく感じた。
食後の片付けを終え、潔子さんをお見送りし、入浴後も満腹感が続いているお腹をさすりながら部屋へと戻る。
「はぁ〜!楽し疲れたぁ…」
いつもより少し硬めな布団にポスンッと全体重をのしかけ、うつらうつらとまどろむ時間が何とも心地よい。
「ギャアアア!出たああぁぁあ!!」
「お前ウククッ、まじ…やめとけって、ブヒャーッ!」
「笑ってんじゃねぇぞコラァ!!」
「お前らうるさい!!!」
遠くから聞こえるまだまだ元気そうな声に耳を傾けながら、ゆっくりと重たい瞼を閉じた…
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『合宿開幕!』
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「俺昨日…子供の幽霊見たんです…」
「あ、ノヤでしょ?」
「え?!どうして分かったんですか?」
「私も去年、同じ反応したわ〜」
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作者名:華うさ | 作成日時:2024年3月2日 15時