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とある日の昼休み。
購買で買ったパンも食べ終わり何をして過ごそうか考えていると、いつもより少し騒がしい廊下に気付き首だけをピョコッと覗かせる。
「あ、スガさん!」
いつもはフロアの違う後輩が見知った顔を見付けて安心したのか、窓からの陽を受けて艶やかに光る栗色の髪を揺らしながら駆けて来た。
「珍しいな、滝」
「潔子さんを探してて…今度のGW合宿の工程表をタケちゃんから貰ってその件でちょっと打ち合わせを」
スガさんもどうぞ!と工程表を受け取っていると「A?」とお目当てだった清水が姿を現した。
「あ、潔子さん!これ今度の合宿の工程表です。で、最終日の音駒高校との練習試合なんですけど…」
「うん」
「向こうにマネージャーがいないらしく、一応こっちがホスト側ということで当日は私が音駒側のマネに回ろうかと」
「私はいいけど…Aは大丈夫?」
「大丈夫です!それに潔子さんが相手側にいると試合どころじゃなくなりそうな顔が2人ほど浮かぶので…」
恐らく、田中と西谷のことだろう。
3人とも同じ人物がよぎったのか俺と滝は苦笑い、清水はいつも通り涼しい顔をしていた。
と、
話が一段落ついたところで、やけに自分が回りから視線を集めていることに気付く。
さっき食べたパンのクリームが顔についてたか?
どっかで制服汚したか?
顔を触ったり制服を見てもそれらしい所は見当たらず、その挙動不審な動作に「スガさん、大丈夫ですか?」と笑う滝。
そして滝を見て、自分の立ち位置にハッする。
部活で見慣れ過ぎていて何とも思わなかったが、清水にしろ滝にしろ、学年はおろか学校内でもその容姿は上位。
そして今、そんな2人の真ん中にいるのが…
__俺だべ
そんな視線の理由に気付いたところで予鈴が鳴り「戻りまーす!」と帰っていく滝の後ろ姿が、廊下にいる大半の視線を奪い一息ついて俺も教室に戻ってみれば
「リア充かコノヤロォォオオーー!!」
「部活のことで話してただけだべ」
「バレー部だけずりぃいいぃーー!!」
「彼氏いるのか教えろおぉぉおーー!!」
「好きな食べ物はなんだぁぁああー!!」
慣れとは恐ろしい、と実感した昼休み…
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『マネたちは顔面偏差値がお高め』
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「滝、次から来る時は連絡してくれ」
「え、何かやらかしました?!」
「いや、俺のメンタルの問題…」
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作者名:華うさ | 作成日時:2024年3月2日 15時