06. あの人と：澤村・菅原・東峰 ページ6
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「ゔぅ〜やり過ぎた…」
みんなの水筒にスポーツドリンクを入れ、全員分を一気に運ぼうとカゴに入れたまでは良かったものの、そのなかなかの重量に化けたカゴが徐々に握力を奪う。
GWを前に気温もグングン上がり、いつもより多めにと入れたドリンクが仇となり牙を剥く。
去年より多少筋肉はついたとして、水筒に負けてるようじゃ夏は越えれん！と今日から筋トレを始める決意を込めてグッと手に力を入れた。
「や…やっとここまで来た…」
無機質にそびえる、体育館前のミニ階段。
地味にツラいそのラスボスに意を決して足を進め、少しヨロけながらも順調に上り詰める。
(あ、あともう少し〜…あっ、)
ゴールが見えて気が緩んだのか、重心が後ろにグイッと引っ張られるようなイヤな感覚と汗が背中を流れる。
「ひっ」と声が出た時にはそのあと待ち受けている水筒散乱の爆音に備え、観念したように強くギュッと目を閉じた。
＿＿ドンッ！
「……あ、あれ？」
水筒はおろか、自分すら無傷。
一瞬なぜ助かったのか分からなかったが、冷静さを取り戻すと共に背中から伝わってくる温もりに気付きそのまま顔を上げる。
「あ、旭さん…！」
「ふぅ〜危なかったな、滝。大丈夫か？」
「だ、大丈夫です！ありがとうございます！」
無事を確認してから真っ直ぐに立たせてくれ「俺が運んどくから」と旭さんの手にカゴがひょいっと渡っていく。
仕事がなくなり、手持ちぶさたになった両手をどうしようか考えていると
「だいぶヨロけてたべ？」
「ス、スガさん…！」
「どうしても重たかったら誰かに手伝ってもらえよ？」
「筋トレになるだろー」と笑顔で力こぶを作りながら体育館に入っていくスガさんを目で追っていると、矢継ぎ早に優しさのスコールが降り注ぐ。
「滝、無理だけはするなよ。お前にケガをされると俺たちが困る」
「大地さん…」
「いつも準備、ありがとな」
最後にポンッと頭を叩かれ、視界がぼんやりと歪む。
普段の雑な扱いがあるからこそなのか、人の優しさが鮮明な輪郭を成して目の前に現れる。
＿＿あぁ、やっぱり人間って優しさで出来てるんだな
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『心のオアシス三銃士パイセン』
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「惚れてまうやろぉぉおおーーー！！」
「なぁ…滝、大丈夫かな？」
「通常運転だべ」
「うちは後輩のキャラが濃いな〜」
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作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
