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第2セットも中盤、試合は音駒リードのまま進む。
互いに打っては拾われてとラリーが続く中、今まで阻まれる側だった日向が今度は犬岡くんからワンタッチをとる。
「ギリギリの戦いの中で互いに影響し合い、時に実力以上の力を引き出す。まさに好敵手か」
「好敵手…」
ちょいちょいイケメンワードを挟んでくる猫又先生の言葉に頷きながら目の前で切磋琢磨している選手たちを眺めていると確かにそうかもしれない、と口角が上がる。
「「もう1本!!」」
日向と犬岡くんの声がシンクロし、その熱が周りにも伝染するかのように個々の闘志レベルが上がってるように見えた。
(18-15。あと7点取られたら…)
犬岡くんがサーブで後衛に、今までマッチアップする機会が少なかった黒尾さんが今度は日向の前に立つ。
そのことを逆手に取ってか、ご挨拶代わりにいつもの変人速攻をぶち込み点差を18-16と詰める。
しかしそこから先、
バックアタックやAクイック、夜久さんのナイスレシーブに黒尾さんの1人時間差など、音駒の多彩且つ熟練感溢れる攻撃と守備に押され先に20点台に乗られてしまう。
このまま押し切られるか、眉間にシワが寄り始めていると
「パワーとスピードでガンガン攻めろ!!」
具体性皆無+飾り気のないストレートな指示が鵜飼コーチから飛び出し、音駒のイケイケドンドンな空気を立ち切り、烏野コートの熱が再び燃え上がる。
烏野押せ押せムードの中点差も詰まり、シーソーゲームを続けるこの試合、先に王手をかけたのは…音駒。
館内に響く応援にも熱が入り、最終セットになってしまうか否か、両コートを行き交うボールだけがその行方を知る。
そして…
「強いスパイクを打てる方が勝つんじゃあないんだ。ボールを落とした方が負けるんだ」
猫又先生のイケメン語録が再度耳に届く中、繋げられなかったボールは烏野のコートに落ち試合終了のホイッスルが高らかに響き渡った。
「もう1回!!」
「おう、そのつもりだ!もう1回がありえるのが練習試合だからな」
この日行った試合は全3試合。
どのゲームも惜しいところまでは追い詰めるものの経験値の差か、1ゲームも奪うことが出来ないまま練習試合は幕を閉じた。
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「今度は公式戦で」
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「滝、ただいま戻りました!」
「また騒がしくなりますね」
「ツッキー、私がいなくて寂しかったよね?もう離れないからね!」
「………」
「目ですごい語るやん」
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作者名:華うさ | 作成日時:2024年3月2日 15時