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2セット目が始まっても対日向作戦は続き、その精度は回を重ねる毎に上がり試合は音駒リードの展開を繰り広げる。
「滝さん…だったね。応援出来ないのは辛くねェかい？」
「ゔっ…つ〜、辛くないと言えば嘘になります！」
猫又先生の問いに悩んだ末、どうせ嘘をついても年長者のカンとやらですぐにバレるだろうと思い、あば○る君のような答えを返す。
その間も『壁』と戦う日向の様子を見ながら再度猫又先生が静かに口を開く。
「…気力を挫く人の壁。打てば打っただけ心は折れて…」
＿＿わらった…？
幾度となく全力で飛び、託された攻撃を阻まれる。
その積み重ねは思わず下を向きそうになったり、ボールを打つことが怖くなったり、そんなメンタルがやられそうな場面にも関わらず日向の目はむしろ輝き、場の空気をゾクッとさせる。
「お前のトスとあと…何か、何かの工夫で…打ち抜けるんじゃないかって思うんだ。だから…もう1回おれにトス上げてくれ」
「当たり前だ」
入部事件の頃、勝ちに必要な奴にしかトスは上げない！と日向に言っていた飛雄が「当たり前だ」と答えている姿に思わず胸が熱くなる。
成長したね〜仲良くやんなさいよ…と、誰目線かも分からない心境でホロリしていると
「…ん？！日向いま…」
飛雄からのトスを盛大からぶる日向。
でもさっきのは単なるミスじゃない…
烏野ベンチもその違いに気付いたのか、鵜飼コーチがものスゴい興奮気味にタイムを取る。
(さっきの日向、目…開いてなかった！？)
目を閉じて打つ方も打たせる方も変人に変わりはないけど、閉じることがスタンダードだった日向はタイミングが掴めず、タイムアウト後もなかなか思うように打てない。
(打ち分けようとしてる…んだよね？)
ブロックに捕まり続けた先に見出だした活路。
触れるのがやっとだったトスの何本目か、バチッ！とタイミングが合ったボールは見事にブロックを避けるもアウトラインを跨ぐ。
「むきゃ〜〜！惜しい！惜しかったよ日向ァ！！」
やっとタイミングの合ったスパイクにテンションが上がり、音駒ベンチで叫ぶだけ叫んだあと注目されながらストン…と腰を下ろす。
「まぁ、声も出したくなるわな」
にこやかに笑う猫又先生にすみません…と謝り、特に気にも止めない様子の先生が言葉を続ける。
「もしあの速攻の打ち分けが出来たら…その時は『鬼と金棒』じゃなくて『鬼と鬼』だな」
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作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
