13. ページ13
・
＿＿翔陽が攻撃の軸なら止めちゃえばいい…
研磨くんはスゴく冷静だった。
『まずは鬼(飛雄)から金棒(日向)を奪う』という方向性のもと作戦が練られ、音駒で1番素早いらしい犬岡くんが日向に付くことになった。
(な、なんかスパイになった気分…っ！)
知ったところで伝えられないものの、対戦相手の作戦を間近で聞ける機会はそうそうない訳で少しだけワクワクしてしまう。
ただ、今伝えずとも
勝ち進めば進むほど、戦う相手が強くなればなるほどこちらのことは研究され、あの速攻は間違いなく1番に攻略＆研究対象になる。
(日向、飛雄…頑張れ！！)
『犬岡くんが日向に付く』という作戦は徐々に効果を発揮し、日向が叩き出していた得点が目に見えてスローダウン。
ずっとリードを保っていた得点もタイムアウト後、ついに18-18とその背中を掴まれ、地道に丁寧に積み上げられた点数は音駒にセットポイントをもたらした。
「影山！次こそバシッと決めるからトスくれ…！」
「いま相手のセットポイントだぞ。ミスったらこのセット落とすぞ」
「ぐっ…分かってる！決める！！」
ネットをはさんだ向こう側に見える日向と飛雄のやり取り…を、静かに見つめる犬岡くん。
(触られる回数は増えたけどまだ完璧に捕らえられてはない。上手く躱してコートにぶち込め！日向っ！)
声に出して応援出来ない分、念でも飛んでるんじゃないかと思うほど心の中で祈り、握りしめる手にはじんわりと汗が滲む。
そして音駒からのサーブ、ノヤのレシーブから飛雄に繋がり、第1セット落とすか凌ぐか…最後を託されたのはもちろん日向。
＿＿ドドンッ！！ ピッ…ピピーッ！
「 やっと捕まえた！！」
犬岡くんの手により阻まれたスパイクはネットを越えることはなく、審判のホイッスルの音が第1セットの終了を告げた。
▼
『変人速攻、敗れたり…？』
▲
烏野 side.
「向こうのベンチですげェ顔してるぞ、アイツ…」
「旭さんのサーブん時みたいッスね！」
「そ、それは滝に悪くないか…？」
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 15人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
