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ついに始まった練習試合は日向に「研磨」と呼ばれていたプリン君のサーブから始まり、体育館内にはキュッキュッとシューズと床の摩擦音が響く。
練習試合とはいえ昨日配ったユニフォームに袖を通し、みんながコートで戦っている姿に敵ベンチから感動に浸る。
そして…
記念すべき練習試合1点目は、奇襲効果抜群の日向影山コンビによる変人速攻が音駒のコートを揺らした。
「ぃよしっ！……あ、」
音駒サイドが「なんだありゃあ！？」とどよめく中、盛大にガッツポーズをかましてしまい高らかに掲げた右手をゆっくりと後頭部に回す。
(…早めにタイムアウト取るかな？)
今まで見たことないであろう速攻を前にタイムアウトを早めに取るかもしれないと思い、みんなの水筒やタオルを準備するため席を立つ。
気まずさを誤魔化す意味も込めて…
「あの10番、今んとこ何本決めた？」
「12点中4本です。10番の囮のお陰で他のWSの決定率も高いです」
「とんでもねェな…」
烏野リード、11対9まで試合が動いたところで猫又先生が1回目のタイムアウトを入れる。
それは私が思っていたより遅いタイミングで、もっとジタバタしてくれるかと思っていただけにその冷静さに少し不気味なものを感じてしまう。
「黒尾さん、タオルとドリンクです」
「どうも。ってあれ？名前…」
「あ、せめてキャプテンの方だけでもって覚えて来ました！」
その言葉にほんのり笑みを浮かべる黒尾さんにペコッと頭を下げ、次へと体を回す。
「研磨！…くん、はいどうぞ」
「…あ、ありがとう…」
日向の影響でつい勢いよく呼び捨てにしてしまい、遅れて敬称をつけるも気に障ってしまったのか、反らされている視線は絡みそうにない。
あちゃー…と反省していると「ごめんね〜この子ちょっと拗らせてて」と黒尾さんが研磨くんの頭をポンポンと叩く。
「クロうるさい」
「ううん、私こそゴメンね。初対面なのに呼び捨てにしちゃって」
「別に…呼び方とか気にしないよ」
「じゃあ、研磨くんで！」とスッキリしたところで、さっきからソワソワ落ち着かない様子のモヒカン君に「お待たせ！えっと…」と名前が出てこず停止していると
「と、虎だ！仲間はみんなそう呼ぶ！」
「な、仲間…？」
もうすでに仲間認定されている展開の早さに驚きを隠せないでいる中、音駒の作戦会議が始まった。
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作者名：華うさ | 作成日時：2024年3月2日 15時
