【◇】君が名付けた場所 (ページ2)

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02章：笑顔ページ2

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蔵沢「へぇ～倉持って千葉県出身なんだ」

倉持「蔵沢はどこなんだよ？」

蔵沢「私はバリバリ地元だよ！でもスゴいね、高校生で実家を離れて寮生活かぁ…」

倉持「そうでもねェよ、俺とかまだ近い方だしな。同じ学年のゾノとか関西から来てる奴もいるしよ」

御幸(…倉持って意外とコミュ力高けェのな)

入学式から数日、出席番号で前後の席に座る倉持と蔵沢は早くも呼び捨てで呼びあう仲に。

かという俺は、あの日と変わらず机の上に広げたスコアブックを眺めていた。

変化があったとするなら…

気付けば倉持と蔵沢の会話に、聞き耳を立ててる自分がいること。

倉持「おい、御幸ぃー！」

呼ばれた声に顔を上げれば、こっちを見ながら手招きする倉持の姿が目に入る。

…いつもなら呼ばれても絶対行かねーけど…

御幸「何だよ？」

倉持「コイツ、同じ野球部の御幸」

蔵沢「初めましてだね！改めて蔵沢と申します。よろしくね、御幸くん！」

初めてまともに絡む蔵沢との視線。

今回はクラス全員に向けてではなく、間違いなく俺だけに向けられてる笑顔。

御幸(…コイツの笑顔、すげェ好きかも)

自然と心の中に浮かんだ感想に、鼓動が早くなるのを感じながら、いま出来る精一杯の平静を装う。

蔵沢「御幸くんって…噂通りだね」

御幸「は？噂？…どんな？」

倉持「ヒャハハ！性格が悪りぃって噂だろ」

御幸「勝手なこと言うんじゃねーよ」

蔵沢「へぇ～御幸くんって性格悪いんだ」

御幸「倉持だけにな」

倉持「おい」

蔵沢「あはははは！ナイスコンビだね！」

笑った…

御幸「で、噂の内容は？」

蔵沢「他のクラスの友だちが「B組の御幸くんがイケメンだ！」って騒いでたの」

御幸「じゃあ、噂通りってことは‥蔵沢もそう思ってくれたってこと？」

倉持「自分からフツー聞くかよ…」

御幸「嫉妬すんなよ倉持♡」

倉持「…絞める。今日お前をぜってェ絞める」

蔵沢「あはははは！ほんと仲良いね」

あっ、また笑った…

その笑顔をもう少し見てェなと思った矢先、ある意味タイミングよく鳴り響くチャイム。

「おら、戻れよ」と倉持からゲシッと蹴りをくらい、蹴られた部分を擦りながら席に戻る。

御幸(あっ…噂に対する答え聞いてねェわ)

俺が席に戻った後も、蔵沢と話し続けられる倉持を少し羨ましく思った。

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