不器用な彼に恋した私。Ⅴ (ページ8)

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195.愛して愛して。ページ8

翔君は驚いた顔をして、もっと顔を真っ赤にさせて下を向いてしまった。

A「っ…は…！！ごめ、ごめんなさい！！！困らせるつもりじゃぁ、なかったんです！！！忘れてください！！！」
一瞬で我に返り、恥ずかしさでどうしようもなくなって、鞄から財布を探し、取り出した。

A「売店！行ってきます！！！」
翔君が引いちゃったらどうしよう、とか。
こんな欲張りで馬鹿な女は好きじゃないよな、とか。
なんでこんなこと言っちゃったんだろう、とか。
後悔が渦巻いて自己嫌悪に陥る。

翔君の反応が怖くて、逃げようとした私。
その時、私の手首を掴んで、引いた翔君は…

翔「逃げんなよ……挑発したの、Aでしょ……」
そりゃぁ…もう私の身体を余すことなく、腕で思いっきり抱きしめられた。
私は…身動きできないまま、働かない脳を恨みつつ。
シチュエーションに、ぐへへ美味しいとまで考えた。

どっきどきの心音を隠せる隙きもないくらいに密着してる体。

A「挑発した…つもりは…」
翔「大事にしたい……からさ…
ずっと、俺の中で我慢してたけど、
無自覚で理性ぶっ潰しにくるとか…ほんとずるい」

また激しく、唇が重なり合う。
思わず手に持っていた財布もこぼれ落ちて、病室の床に転げ落ちる。

A「ん…っ、！」

短く甘い声が出て、恥ずかしさで顔から火が出そうだった。
唇がまた離れるとまた強く抱きしめられて、翔君の高ぶってる心音が聞こえてくる。

A「翔君…激しすぎます…」
翔「…家だったら、このままAを…」
翔君は、真っ赤な顔したまま、あぁもう…と呟いた。
抱きしめられた腕が解かれ、離れた体。
まだ火照ったままの体。そして心臓は信じられないくらい心拍を打ってる。

これ…もし…どちらかお互いの自宅だったら……おっぱじめてるに違いない……

私はつい先程まで繰り広げられていたシチュエーションを思い出しては、ドキッドキして、翔君を見れなかった。

翔「退院後…覚悟しといて」

私はその言葉に思わず、顔を上げ翔くんの顔を見た。
ズキューン……胸がきゅっと鳴って、胸がこう…きゅうううんってなり過ぎて、穴が開くんじゃないかと思わず胸を抑えた。

15日、かっこ、火曜日。
もうあと10日ばかりしかない。
私は、あまりにドキドキして翔くんを見つめたまま、声にすることもままならず、こくんと頷くだけだった。