不器用な彼に恋した私。Ⅴ (ページ48)

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235．冷たい手首。ページ48

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宴会は4時間まで及び、二次会からはそれぞれに分かれることになった。
幹事の私がかかわるのは此処まで。
なんのトラブルもなく(？)終わったので、安心しきった。

A「二次会どうする？」
カコ「パス、二宮がガチ酔いしてるから、連れて帰る～」
ひどく二宮が酔ってる、初めて見た。

和也「むにゃむにゃ」
…寝てるときにむにゃむにゃて…。
漫画の世界だとおもってた。

A「じゃー、私も帰ろうかな、酔いすぎちゃったし。」
亮「気を付けて帰るんよ」
A「ふふ、ありがと」
亮君は、態度は以前と変わることなく、優しく微笑んでくれた。

会計も済み、のれんを潜って居酒屋から出た。
カコは、後で連絡すると別れ、二宮を引きずりながら帰っていった。
亮君は、終電があるからと別れた。

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A「幹事って大変なんだな…」
剛「大変やろ、先輩、お疲れ～」
私は背後にいた剛君に激しく驚いてしまった。

A「わっっっ！？！？まだいたの！？！？」
剛「亮ばっか、ずるいやろ
俺にも口説く時間が欲しいわ」
肩を引き寄せられ、足がふらついて、体がぶつかる。

A「口説くって！？！？
もう、バカにしないの…大人を」
剛「二宮先輩から彼氏いるからやめとけって言われたんやけど、諦められへん」

二宮！？！？！？

剛「きっと二宮先輩、A先輩のこと好きなんやろうな」
いや、元だよ！！！！！
今は仲良しこよし、カコとできてんだよ！！！！

A「彼氏がいるのはほんとだよ！！！」
剛「でも、俺、二番目でもええよ？」

いや、二番目て…
とんでもなく悪い女だろ

A「酔いすぎ！！！！！もう！！！！」
ばりっ、と効果音がつきそうなくらい勢いよく体を離す。

剛「まあ、ええよ
これから、就職したら集中的に惚れさせる」
A「私は、一人にしか愛情を注げないし、器用なことはできないの…
たった一人、愛するのだってまともにできていないかもしれないけど
愛する人はたった一人でいいの」

恥ずかしいくっさーいセリフだってわかってるけど、
酔っていることを口実に口走ってしまう。

A「たった一人、ずっと大好きな人がいるけど
誤解されたままで、もうだめかもしれないけど
ずっとずっと大好きなの、
比べるもんじゃないけど、剛君じゃ比にならないくらい大好きなの」
涙が零れる。

剛君は大きな瞳を見開いて、辛そうにうつむく。
剛「俺は諦めへんから」
そう、捨て台詞をはいて、踵を返す剛君。