不器用な彼に恋した私。Ⅴ (ページ30)

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217.First Love。ページ30

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A「んっ…」
私は、差し込む朝日で目が覚めて、
ベッドサイドのテーブルの上にあるデジタル時計は午前7時。

まだ、うとうとした頭で、隣で天使のような寝顔で眠っている翔君が視界に飛び込んでくる。

A「っえ…？えええ…？」
微かな腰の痛みに、ベットの下に投げ出されて乱れた衣服と下着たち。
あまりの…光景と痛みに昨日の情事を思い出して恥ずかしくて再度布団にくるまる。

そっか…そっか…、ついに…。

翔「んっ……A…起きた…？」
寝ぼけた声、眠そうに蕩けた目。
目がしっかりと合って、私は頷いた。

A「おはよぅございます…翔君」
翔「おはよ…A」
初めて見た起き抜けの翔君のやわらかい笑みも好きだななんて見惚れて。
シーツの上で流れる髪の毛ごと引き寄せてしまうくらい、大きくて暖かい腕が私の身体を抱き寄せる。

体温と、私の匂いが混じった翔君の香り。
深く吸い込んで、ずっとこの時間が続けばなんて思いながら翔君の胸にすり寄った。

翔「んー…幸せ」
A「んふふ、私のほうが幸せだもん」
翔「っふはっ、！
競ってどうすんだよ、！
おんなじ大きさの幸せを分け合ったことに意義があるだろ」

同じ幸せかぁ…確かにそうだよね。
均等な程度で多すぎず少なすぎず、同じ分量の幸せのほうが、いい気がする

A「確かに…じゃあ、同じくらい幸せですっ」
翔「ふふっ…じゃあ、まだこうしてようかな…」
そういって翔君は抱きしめたまま、再び眠ってしまった。
私はというと、素肌がぶつかり合って、隙間なく抱きしめられちゃってる状況に、まだ慣れず心臓がどきどきしたまま、二度寝することが出来なかった…

という妄想をした。

翔「昨日からずっと顔色が悪いからもしかしてとは思ったけど…」
A「せ、せっかくのチャンスがぁぁ…」
ちゃ、チャンスとは？と不思議そうな顔をする翔君。

そう、私井上Aは、高熱を出し見事に病人になってしまった。
事の顛末はこうだ。

①翔君とぶちゅぶちゅちゅー
↓
②翔君顔に触れる
↓
③「いっっっや、あっつぅ！？」
↓
④体温計登場
↓
⑤38.0熱あり
↓
⑥いっちゃいちゃ中止

そして、私はほっかほかなおでこを恨みつつ、新たに冷えピタを張り替えてくれる翔君をじっと見つめた。

翔「最近無理してたって課長から聞いたよ。
Aは張り切っちゃうところあるから…」

なんとなく悲しいのはワタシだけ？