不器用な彼に恋した私。Ⅴ (ページ15)

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202．最大イベント。ページ15

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病室に入るなり、大きなボストンバックに目が行く。
もうボストンバッグにちゃんと入れて整理してくれていた翔君はとびっきりの笑顔で待ち構えてくれていた。

A「もう整理しててくれたんですか…？ありがとうございます！」
翔「いや…俺がお礼言いたいくらい」

その微笑んだ時にできるしわも可愛すぎてむねきゅん案件。
…仕事の疲れが吹っ飛んじゃいますって……

翔「青い袋に入ってる奴は衣類だけど、もう全部洗濯乾燥は済んでるから。
そのまま棚に入れてもらえると嬉しい
小物はそのまま袋に入れたまま置いてくれればいいから」

そこまでもうやっていてくれたんだと、感激。

A「そこまでしてくれてたんですか…」
翔「いや、A仕事だし、負担かけたくなかったんだよ
それに俺の荷物だしさ、当たり前だよ」

私は荷物をちゃんと受け取る。

A「お家にちゃんと届けときますね！」
私の中で最大級に微笑んだら、翔君はすぐに目を逸らしてしまった。
あっれれ…？あんまり可愛くなかったか…？

私らしくないから私の中で秘密にしておきたいけど…鏡の前で笑顔の練習を夜な夜なしていた…
絶対誰にも言わないつもりだけど…練習の効果はなさそう…

翔「…あぁ、よろしく。」

最近、というか今さっき確信したけど…
最近翔君の様子がおかしい。

あんまり目を合わせて話してくれなくなったし、
手に触れようとしたら、避けられてしまった。

その時は気のせいだと思ったし。
気のせいだと気を逸らしたけど、今やっと確信した。

やっぱり…触れてほしいなんて言ったのがまずかったか…？
で、でも…本当のことだし…
本当はこんな欲深い女だって知って、ひいちゃったとか…？

ぐるぐる、考えてるうちに、面会時間終了の20時になってしまった。
私は平常を装って、いっぱいくだらない話をした。
二宮が、午後から復帰することをめちゃくちゃ驚いてたとか。
会社の近くのチーズフォンデュ屋さんが美味しかったとか。
新作ケーキが美味しいお店の特集を雑誌がやってて、行ってみたんだとか。
翔君は話をしているときはいつも通りの翔君なんだけど。
話が止んで、ふいに目が合うとすぐに逸らしてしまう。

ずきずき。胸がひりひりしながらも、その日もキスも手もつなぐことなく別れた。
浮かない気分のまま、スーパーに向かってケーキの具材を買って、スーパーから近い翔君の家へと向かった。