【鬼滅の刃】静柱は騒がしい。 弐

五拾参 ページ7

『お待たせ義勇ちゃん。待たせたなぁ』

「あぁ」

『そこは“俺も今来たとこ”とか言うもんやねんで』

「…？さっき会ったばかりだが」



首を傾げた義勇。
至って真面目な表情の義勇をみてAは少し反省していた。
義勇にネタは通用しない。
ボケて拾って貰えないのがAにとっては一番辛かった。
今回の任務中は極力ボケんとこ…と思ったAだが、おそらくその決意も長くは続かないだろう。
それが生まれでた土地の性というものだ。



『たんじろーたちは？』

「Aが胡蝶を探しに行ってすぐに出発したぞ」

『あちゃぁ、いってらっしゃい言うん忘れた』



額を押えたA。

また会うだろうからまァいいかと開き直ったAは義勇の背中をポンと叩いた。



『うっしゃ、義勇ちゃん行こか』

「…どこの町だ？」

『え‘’。義勇ちゃんが知っとる思てた』



潰れた声を出したA。

なんとここまできて2人とも目的地を知らないという致命傷が発覚した。
マグロは当てにならないので義勇の鴉に賭けていたので、その頼みの綱が切れてしまって本日1番のため息をつく。



「ため息をつくと幸せが逃げるぞ」

『ほな吸うとこ』

「……そういうものなのか」



今度は思い切り息を吸い込んだAに眉をひそめていた義勇。
しばらくAを見つめていたかと思っていたが、ふとAの肩越しに黒い塊を見つけて、あっ、と声を上げた。

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