【鬼滅の刃】静柱は騒がしい。

卌肆 ページ46

伊之助が木の幹に歩み寄り、先程のAの真似をする。



「だーるーまーさーんーがァァァ…………」

『………………』

「……うぇ？」



突如飛び上がったA。
その予想外の行動に炭治郎も善逸も驚いてその後を見上げる。



「ころんだァ！！あ？おい飴野郎どこいった！！」

「いや……」



炭治郎が答えようと口を開いたのを善逸が止める。
蝶屋敷の屋根で、Aが人差し指を唇に当てて、黙っていろと指示を出していたからである。
何か考えていることがあるんだろう。



「なんで急に消えるんだ！」

『ほい、いのちゃんつっかまーえた』

「だァ！？」



いつの間にか伊之助のうしろに回り込んでいたA。
伊之助の頭の上に手を置いてニコニコと笑っている。

え、今屋根にいたのに…！と炭治郎。



『遅い遅い〜、そんな程度じゃノロマの亀さんと一緒やで〜』



いのちゃん亀さんなん？イノシシさんやなくって？？と伊之助の頭に腕と顔を置きながら煽りまくるA。性格が悪い。



『俺が言うてるだるまさんがころんだが普通な訳ないやん』

「え、でも誰もそんなの」

『言ってへんやん。上がアカンなんて。
本番は上も下も関係あらへんもんなぁ〜』



炭治郎、善逸、伊之助はようやく意味を理解したらしく、顔を見合わせた。

どうやら人 対 人の勝負としてではなく、鬼 対 人としての鬼狩りを想定しているようだ。



『むしろ、普通じゃ物たらんやろ』



Aの口が形のいい弧を描く。
意地の悪い、でも少年が何か企んでいるみたいな笑顔だ。

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