【鬼滅の刃】静柱は騒がしい。

卌 ページ42

『なんでさねみんのとこへ毎回行ってまうんやろうなぁ…俺の屋敷でこんなんなったことないのに』

「さァなァ。俺に聞くんじゃねェ」

『とか言いつつ考えてくれるさねみん好きよ』

「埋める」

『冗談やて』



膝に乗せた自らの鴉を撫でながらAは名前を呼んだ。
すると、ようやく意識を取り戻した様子のマグロが飛び退いて、実弥とAに頭を下げる。



「すすすすすすんません、また御無礼を」

「相変わらず流暢に喋りやがんなァ」

『口は達者やねん。マグロ、大丈夫か？』

「はい……お恥ずかしい限りで…」



マグロは少し身を縮める。
肩を竦めているつもりらしい。



『で、今回はなんでまた松の葉に引っかかっとってん』

「さねみん様に、Aさんが戻られたとご報告したく……」

「……そう言えばお前もその呼び方だったなァ」

「Aさんがそう呼べと」

『てへっ』



へらへらと笑いながらAがおちょける。
実弥は大きくため息をつくとマグロの頭を撫でた。
怒るのにも疲れた様子である。



「俺の屋敷は間違わねェんだよなァ…」

『ほぼほぼさねみんの鴉状態やもんな。俺の息子やのに』

「恐縮です」

「褒めてねェよ」

「あっ、あとAさんにも伝令があるんですけど」

『なんや』

「忘れてしもたのでもう1回聞いてきます」



ズコーっと効果音の付きそうなこけ方をしたA。
実弥は声を上げて笑った。
マグロとAはいつもこんな感じである。



『お前…ホンマに知能ニワトリなんちゃうか』

「早起き苦手ですし、あんなにけたたましく鳴きません」

『そういう問題とちゃうねん……
……もう俺が直接御館様に聞きに行くからええで…』

「あかんのですぅぅぅ！！それだと私のお仕事がぁぁぁぁ！存在意義がぁぁあ！！」

「ひっでェ泣き方」

『もう…こう言うたら毎回こうなるねん、どないしょ……』



あのなぁ、毎回俺困ってるねんで？と珍しく厳しめに叱るA。
それを聞きながらもマグロはまた縮こまった。気の毒ではあるがしょうがない。
これには実弥もどうすることも出来ない。

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