卅玖 ページ41
しばらく震え上がっていたA。
だが、実弥が刀を仕舞ったのを見届けてから、恐る恐る縁側へと戻って再びおはぎを食べだした。
実弥もその隣に腰を下ろして胡座をかいた。
『……あ』
「あ?」
『……マグロ発見』
「おい嘘だろ」
『ほれ』
Aが指した先には実弥の屋敷に植わっている松がある。立派な枝振りのクロマツだ。
そしてその尖った葉の中に、よく見ると黒い影がひとつ紛れている。
実弥は顔を青くした。
「……マグロ?!」
『あれ我が家のマグロくんやわ』
「お前何落ち着いて指さしてんだよ助けてやれアレ松だぞ?!」
『そういえば俺も松の葉っぱに頭よォ刺しとったわ…
あれ結構頭の位置に降りてくるんよな、枝が。意地の悪い』
「んな事言ってる場合かってんだァ!マグロ見てみろ!瀕死だぞ?!」
焦る実弥。だが一方でAは涼しい顔。
頭のネジが外れてるにしろコイツは馬鹿かと実弥はAの神経を疑った。
仮にも自分の息子(鴉)が酷いことになっているというのに。
『大丈夫やってさねみん。アレ寝てんねんで、あぁ見えて』
「紛らわしいわァ!!」
『なんで俺を殴るん?!』
重い重いと文句を言いながらマグロを助け出したA。
かなり高いところに引っかかっていたのでAが実弥を肩車していたのだ。
(因みに2人で全長3メートルを超えていた為、実弥は少し屈みながらマグロを救出していた)
そして降ろしてもらったマグロの羽に刺さっている葉を1枚1枚丁寧にとりながら、Aはその形のいい眉を寄せていた。
『なんでこんなに鈍臭いんやろ…』
飛ぶのが苦手なら自分が直接聞きに行くとAが提案しても、それでは私の仕事が無くなってしまいますと頑なに首を縦に振らないマグロ。
Aも本人が頑張っているのを知っていたためしつこくは言わなかったが、これはとうとう真面目に考えなければとAは思った。
毎度毎度、探すのも正直めんどくさい。
「……おい、起きたか?」
『ぐっすりやわ……ホンマに手のかかる子やで全く……』
「親が親なら子も子ってかァ」
『ぐぬぬ……』
クク、と喉を鳴らして笑った実弥にAは悔しそうに目を向けた。なんとも言えないのだ。
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隆弘 - 誕生日一緒だァァァァァ⁉︎今日から読み始めるので楽しみって感じです‼︎ (2022年7月25日 0時) (レス) @page1 id: 4c1fa166fb (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - 拙い説明で申し訳ありません……!ですが、ありがとうございます! (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
タロ。(プロフ) - ルルさん» ご指摘ありがとうございます!紛らわしい書き方をして申し訳ございません…あくまで、炭治郎には火の呼吸という認識をワザとさせています。その後の閼伽が「日…ではない」と語っていますので、ここの間違いは意図的となります (2020年1月21日 18時) (レス) id: a185b79d93 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊しちでした (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
ルル - 珊じゅう話の炭次郎が言ってる呼吸が日の呼吸ではなく火の呼吸になってます (2020年1月21日 17時) (レス) id: 2200c5b181 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:タロ。 | 作成日時:2019年9月25日 21時