無表情さんはストレスがたまっているようです【今日から俺は!!】

名前を偽ったり言ったりしたようです ページ29

「あの〜僕の名前は石橋ですっ」


そんな三橋は、偽名を使ってこの場を切り抜けることにしたようだ
…悪くない考えだと思う


「ちょっと、ごめんね。早川さん」

「？は、はい…」


早川さんに断りを入れ、私もヤクザの元へと向かう


「七瀬です。私は七瀬です」


名前は知られてるかもしれないけど…まだ苗字はバレてない
ここぞとばかりに偽名をごり押しする

私は今日から七瀬です(嘘)


「…吉村です」


伊藤君も偽名を言う
本名バレたら、何されるかわかんないもんねぇ…


「じゃあ、そういうことで…帰ろっか」


はっきり言って数歩歩くのもキツい私
きっと角材で殴られたのが原因だな


家に帰って早く手当がしたいのもあって、自らそう切り出した


「はい！」

「あ、私達はAさん達とは違う方向になるかと…」

「そっか…じゃ、また今度ね。早川さん、川崎さん」


家の方向が違うという二人に、アッサリと答える
本当に申し訳ないけど…送ってあげる体力なんか残ってないんだ

…鍛えようかな


「…あ、あの！」


二人との会話を終えて、三橋達の会話に合流しようとすると、引き止められる


「？…どうかした？」


「そ、そのっ…！」

「「な、名前で呼んでもらえないでしょうか…！」」


プルプル震えながら、頭を下げた二人


思わぬ展開に私はフリーズ

何も言えないでいると、「すいません」と謝り始めた
いや、待って名前で呼びたくないとかそういうのじゃなくて…


「顔上げて、京子、明美」

「「！！」」

「別に呼びたくないってわけじゃないから…ってなんで目ェそらすの」

「ありがとうございます…！」


言い訳しても無駄だな
そう判断した私が実際に名前を呼ぶと、全力で目をそらされた

…なにゆえ



・



「なんでかなぁ…」

「うっせ」


『目そらし』の事でモヤモヤしつつも、早く帰りたい気持ちは健在だったので
あの後すぐに別れて、現在は軟高三人で帰宅中

しかし、モヤモヤを消化しきれず。思わず二人にこぼしてしまっていた


「俺はAちゃんがカッコい「三橋と伊藤と…軟高の頭の一ノ瀬さんもいるじゃないですか〜」


伊藤君が三橋の分もフォローしようと口を開いたその瞬間
前方を歩いていたツッパリ達に絡まれてしまった


「お前、マジで頭なの」

「知らん」



私と三橋は呑気な会話をしているが、事態はよろしくない
相手が臨戦態勢に入っているのだ


…どうしようか

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