5 ページ5
・
嗚呼、何時もの匂いだ。
執務室に出入りする毎度あまりいいとは言えない職を就いている人間だからこそする匂いと何処か優しくて温かい何時もの匂いがする。
・
意識朦朧とする中で見慣れない天井が視界に入った。我を戻せば上半身だけが飛び起きて、見慣れない部屋に頭だけが着いていけずに目をギョロギョロと動かせたりした。そうしている内に何処だか見慣れた姿が視界に入った。
・
「お目覚めは如何かね？」
「し、首領」
・
見知らぬ内に私の隣で指を絡ませて、満面な微笑を浮かべる首領がすぐ隣にいた。その瞬時に閉じ込められてしまった事に気が付いた。夢も希望も全部暗闇に閉ざされた事に覆いきれない絶望感を抱いて涙を薄らと浮かばせてしまった。
それを見た首領は、笑みを浮かべて、
・
「ふふ、その表情もいいね。」
・
そんな満面な微笑を浮かべないで。
私が生きる中で最も願望していた盛大な夢を希望を壊した人間が目の前にいるのだもの、そんな計画通りみたいなその表情を見たかったみたいな微笑をされるたら私は絶望するより他が見当たらない。そして涙が流れ落ちてよりもっと首領の計画通りになりそうで。そんなの、絶対に嫌だ。首領にこれ以上表情を見せたくない。人形みたいにただ綺麗でちゃんと手入れもされてて口角を薄ら上げているだけの人形になれたならそれはそれでよかったのに。
・
「林檎食べるかい、好きだろう。」
・
首領の誘いなどに連れられるものか。普段なら却下する事が如何しても出来なくて口にしていただろうにこうしてされては却下してでも絶対口にするものか。餓死寸前になろうと首領から離れれるなら本望だから餓死寸前になろうと私は絶対に首領からの食べ物は口にしない。
・
「ふふ、餓死寸前とは思いの他であったけれど餓死寸前にさせるような事は絶対にさせないよ。Aちゃんには悪いけれど君を殺すような真似は絶対にしないし、させない。嗚呼でも、」
・
一瞬何か思い付いたかのように口角をニッと上げては冷たいような狂人が狂喜に舞ったような瞳を此方に向けられた。
・
「餓死寸前に私を求めて?
その苦痛たる甘い震わせるような絶叫で私に許しを請うような愛らしい叫び声で求愛してくれ給えよ。そうならばきっと私の愛情が君に伝わるだろうから。」
・
甘い呟きは私を殺す。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 371人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しきみ(プロフ) - ザックさん» コメントありがとうございます。ヤンデレとミステリアスな作品にとても憧れていたのでとても嬉しいです(笑)ザック様含めての読者様達のお陰で完結できました。此方こそありがとうございました。 (2020年1月7日 19時) (
レス) id: 89a0c505d2 (このIDを非表示/違反報告)
ザック - すごくミステリアスで面白かったです。一気に読んでしまいました。ありがとうございました。 (2020年1月7日 14時) (レス) id: fc99185244 (このIDを非表示/違反報告)
しきみ(プロフ) - あさん» コメントありがとうございます。完結に至るまで試行錯誤していたのでとても嬉しいです(笑)質問のトプ画ですが画像をお借りして、そこに文字を入力してトプ画とさせて頂いております。何か問題がありましたらトプ画は削除させて頂きます。 (2019年11月11日 2時) (レス) id: 89a0c505d2 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 物凄く面白く読む手が止まりませんでした。質問なのですがトプ画？表紙？は、どこで作っていらっしゃるのですか？完結おめでとうございます。 (2019年11月10日 23時) (レス) id: fe6437d156 (このIDを非表示/違反報告)
しきみ(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます。面白いという一言だけで救われます。完結に至るまでどのように幕を閉じるかと試行錯誤していた結果悲惨な完結にしてみました(笑)お陰で完結できました、ありがとうございました。 (2019年9月17日 20時) (レス) id: 89a0c505d2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あさごはん | 作者ホームページ：
作成日時：2018年10月21日 23時
