・・・ ページ15
「そろそろ帰りましょうか。もういい時間ですしね」
「…うん。あ、ごめん、ちょっとここで待ってて」
お土産ブースを抜けようとすると、凪砂さんは何かを思い出したみたいで、歩いて来た方向に戻っていった。私は大人しく壁にもたれて待つことにした。
少しして凪砂さんは戻ってきた。なにやら満足げな顔をしている。用事が済んだのであればよかったけど、なにかあったのだろうか。
「どうかしました？」
「…ううん、なんでもないよ。さぁ、帰ろうか」
「そうですね」
私達は水族館を後にした。秀越学園最寄り駅に戻るまで、ずっと今日見た生き物の話でもちきりだった。なにより、話をする凪砂さんがとても楽しそうな顔をしていたのが、もの凄く嬉しかった。
話しているとあっという間で、気が付けばもう最寄り駅まで戻ってきていた。もうお別れか、なんて柄にもなくちょっと悲しくなった。
「帰ってきましたね。今日は楽しかったです！ありがとうございました！」
「…うん、私も楽しかった。初めて見たものがいっぱいで、なんだか新鮮だったよ」
「よかったです！それじゃあ、私はそろそろお暇しますね。凪砂さんは車ですか？」
「…うん、そろそろ茨が来ると思う。今日は本当に楽しかった、ありがとう」
「いえいえ！それじゃあまた学校で！」
私が踵を返して歩き出そうとすると、凪砂さんに「…ちょっと待って！」と呼び止められた。普段あまり聞かない声量だったので驚いた。
「どうかしましたか？」
「…実は渡したいものがあって。これなんだ」
凪砂さんは小さなピンク色の紙袋を差し出してきた。「…開けてみて」と言われたので、素直に袋を開ける。中には
「え？ネックレス？」
中には貝殻モチーフでピンクの綺麗な石が付いたネックレスが入っていた。
「…うん。見かけたときAさんに似合うんじゃないかなって思って買ったんだ」
「わぁ…本当にいいんですか？」
「…うん、私と色違いでお揃いだよ」
凪砂さんの手には、色違いで青い石がくっついているものもあった。
え、本当に嬉しい…やっぱり今日は命日か。
「ありがとうございます！大切にします！」
「…うん、気に入ってくれてよかった。あ、茨が来たみたい」
遠くで茨くんが「閣下！」と呼ぶ声がする。凪砂さんは「…それじゃあ」とだけ言い残し、車に向かって行った。
今日は本当に楽しかった。鼻歌を歌いながら私も帰路に付いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 165人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「あんスタ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼月°(プロフ) - エルさん» ありがとうございます！更新物凄く遅いですが、頑張ります！！！ (2021年7月2日 0時) (
レス) id: 100244ef32 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - すごく面白かったです！続き楽しみにしてます (2021年6月29日 2時) (レス) id: 519c259dd3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月°(プロフ) - 水斗さん» はじめまして！嬉しいお言葉ありがとうございます！仕事の関係もありまして、本当にたまにしか更新出来ませんが頑張らせていただきます！ (2021年5月2日 1時) (レス) id: 5479b67d21 (このIDを非表示/違反報告)
水斗 - このお話とっても好きです！これからも続けて下さい！応援してます！ (2021年4月30日 18時) (レス) id: 276e527073 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月°(プロフ) - kazu-mochiさん» ひえっ…こちらこそ更新遅くなってしまい申し訳ないです…ああああ嬉しいお言葉ありがとうございます…是非是非！！！！もう色々とありがとうございます… (2021年4月24日 23時) (レス) id: 5479b67d21 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
