狂愛 ページ3
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考える価値もない。彼女は、舞園Aは生まれた時から天使だった。彼女の隣にいると心が安らいだし、ずっと一緒にいたいと思った。ずっと隣で守ってやらなきゃなと思った。双子の妹とかいった女は清潔感のカケラもない化粧ばかりして近寄ってきて邪魔なだけだった。
天使だと思ったと同時に、悪魔だとも思った。
だって、一目見た瞬間に心を奪われたから。心臓が止まるくらい好きって思わされたから。冷静になって考えていればそれはただの一目惚れだってわかったんだろうけど、あの時はおかしな病気にかかったのかと思うくらい苦しかった。
きっとこれは恋とかで表せない感情だし、この愛はもう2度と恋に変わらない。それだけは断言できる。ゲームくらいしか生きがいがなかったけど、初めてそのとき俺は、神様って本当にいるんだと思った。
「初めまして。今日から此処に引っ越してきた舞園という者です。この子はAです。いっつも私に引っ付いて離れなくて。」
家のドアが開いて、おばさんの長い足にしがみつくようにして顔を覗かせたAに、俺は初恋を奪われた。片思い歴で俺にマウントを取れる奴は絶対にいない。あの時の俺はまだ幼稚園生。年中さんでペンギン組に属していた。数えてみてほしい、13年間も健気に思いを募らせているというのに、Aは全然気付きやしなかった。気づく気配すらなかった。
「せ、誠士郎くん、よろしくね。」
「……うん。」
柔らかい。小さい手。あの感覚を今でも覚えてる。すべすべな肌はおひさまみたいにあったかかった。だからこそ、俺しか守れる奴はいないと思った。俺とAは結ばれる運命なんだって信じてたし、Aは産声を上げたその瞬間から俺のものなんだって確信していた。
「あーっ!授業をサボるな!今すぐ教室まで戻ってきてーっ!」
ああ可愛い。可愛い。間違いなくAは俺の天使だった。
もうAに連れ戻されるためだけに授業をサボっていることもある。やっぱりこれは、紛れもなく病気なのかもしれない。そう思った。
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天谷蛍(プロフ) - 凪くんが本当にヤンデレでかっこかわいいです…妹さんの性格が悪すぎるな。頑張ってください! (2022年12月27日 16時) (レス) @page4 id: b69317b0be (このIDを非表示/違反報告)
狂夜十三曲(プロフ) - えぇすき…応援してます…!今後が楽しみです…! (2022年12月27日 16時) (レス) @page4 id: b69317b0be (このIDを非表示/違反報告)
apricot5(プロフ) - 刺された。刺してくれてありがとうの気持ちがおおきいですありがとう。心の底から応援してる…!! (2022年12月26日 9時) (レス) @page2 id: 2728adbbdb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鮭漫あと | 作成日時:2022年12月25日 22時