1章 危険とはほど遠く ページ3
Noside
壁。それは、人類を守る砦であり象徴。巨人が攻めて来ても、並大抵ならば問題はない。
その外の世界を夢見、興味を持つことさえ問題視された。
彼らはまだ何も知らなかった。壁の高さを超える巨人がいることも、壁は鉄壁ではないことも。
更に言ってしまえば、壁の外の人類についても、巨人の正体についても。
...壁付近でひっそり暮らす、村の事さえも。
＊＊＊
｢A副隊長〜！｣
どこか疲れたような声に、広場を歩いていた人は足を止めて振り返った。
艶やかで柔らかい短髪は、雪の様に白い。華奢で小柄。しかし弱々しく見えないのは、瞳と表情からだろうか。
特別に作られたような、整った顔立ち。髪に少し隠れた瞳は、深く、冷たさを宿す不思議な金。
凛とした佇まい。無表情なその人、Aは駆け寄ってきた人にため息をついた。
｢...サン。また、か｡｣
｢はい...｡｣
申し訳ありません、と呟くサン。彼が書類もなく、Aに声をかけるとしたら、用事は大抵一つ。
｢...分かった。探そう、今は暇だ｡｣
金に呆れを滲ませ、Aは歩き出した。
探そう、とはどうしようもない上官のこと。その上官はデスクワークになる度に、行方不明になる。
脱走、するのだ。
｢...クソ隊長め｡｣
Aは舌打ちをして、空を見上げた。
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ミラージュミラー - まだ、読んでくださっている方ありがとうございます。そろそろ更新再開したいです... (2020年11月4日 16時) (
レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュミラー - すみません、暫く更新遅くなりそうです。( ノД`)… (2020年4月19日 14時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミラージュミラー | 作成日時：2020年4月12日 14時
