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自分の家に帰れば、弟のカイルは疲れたのか寝ていた。Aは母親のセトの薬を調合するために、薬草を取る。
なるだけ音をたてないように。壁にかけた灯りが揺れた。薬草を潰し、混ぜ合わせ。Aはふと昔を思い出していた。
Aが壁探索隊で、子供ながら副隊長なのは理由がある。
勿論実力はあった。鍛えた身体能力は大人にも引けを取らない。思考力は最早、巨人の居場所さえ分かれば行動を予測出来るほど。頭脳はトップクラス。
冷静で無感情に判断するが、部下を大切にする。不器用だが優しいのだ。それも一つ。
だが、理由はそれだけではない。
｢よし｡｣
混ぜた薬草を専用の瓶にいれた。棚に仕舞い、他の小瓶を取った。そして、今度は毒草を調合する。
Aが、｢特別｣だから。
それが理由。Aは...『壁の中』に住んでいたから。
｢...｡｣
小さい頃のことは、うっすら覚えている。本当に幼い子供だった時は、相応に愛されていただろう。多分。
はっきり断言出来ないのは、痛みや苦しみの記憶の方が多いからだ。
壁内人類は、裏切り者。それはこの村の人々のように、裏切り者と代々伝えられてきたものとは違う認識。
...Aは、壁から追い出されたのだから。
向けられた、刃物。恐怖の視線。
言われた、心ない暴言。
握った手が落ちて。流れた血。家族の死体。
｢...いいや｡｣
どうせ過去の話だ。
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ミラージュミラー - まだ、読んでくださっている方ありがとうございます。そろそろ更新再開したいです... (2020年11月4日 16時) (
レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
ミラージュミラー - すみません、暫く更新遅くなりそうです。( ノД`)… (2020年4月19日 14時) (レス) id: 1bda2ccaaa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ミラージュミラー | 作成日時：2020年4月12日 14時
