能力 207 ページ9
〜時は少し遡る〜
降りそそぐ蛇の大軍。持てるだけの人形を投げ飛ばし、操り、切っては切っては切りまくる。
こんなに一度に、しかも自分も体を動かしながら能力を使うことはそうそう無かったので、少し辛いが弱音は吐いていられない。
「っ、ぐおりゃ!!」
肉が切れ、血が舞う。
吐き気を催すような臭いと光景に自然と眉が歪んだ。
月島を送り出して5分ほど、この量を三人で対処するのはかなりキツい。だが諦めず気力だけで何とか食らいつく。
「っ!山形さん!!!」
「!!!?」
ふと、山形の方に視線をやった時、一匹の蛇が山形の腕目掛けて飛びかかろうとしていた。それを見て白布は咄嗟にその腕の前に自分の右腕を差し出した。
案の定、蛇は白布の腕に力強く巻付き、離そうとしない。
「っ……ぐ、、がっ!!」
白い肌は赤黒く変色し、メキメキと骨が鳴る。
やばい折れる。そう思った時その蛇はグイッと茂みの方に白布をひきずりこんだ。
「白布!?!」
「くっ……そ!!」
山形が左腕を掴み引き留めようとするも、蛇はズズズズーーっ!!!と音を立てて白布を引きずる。
咄嗟に右手に持った人形を投げつけようとするも、あまりの力と痛みに手に力が入らなかった。
「ぁがっ!!……や、山形さん!!腕を、離して!」
「何言ってんだ!白布!!!」
「いいから!!早く!」
「………、、くそっ!」
白布のお願いに、山形は苦しそうに腕を離す。
同時に勢いよく白布の身体は茂みに引きずり込まれた。
白布の身体は地面に叩きつけられることはなく、大量の蛇の海に沈んだ。流石の彼もこれには叫んだ。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
ありとあらゆる所に蛇が巻き付き、大きな蛇の身体が口を塞ぐ。息が出来なくなり苦しい。しかし蛇たちは白布の体をモゾモゾと横に移動させ、ある場所へと向かわせていた。
潜が人々を隔離していた山奥にある洞窟である。
段々と蛇の数が少なくなり、体が安定した地面に寝かせられる。白布は吐きそうになりながらも何とか体を起こし当たりを見渡す。
目の前には大きな洞窟の入口があった。
白布は思わずげんなりした。
こうも立て続けに色々あるとさすがに滅入る。
「……………入る、しかねぇよな」
ムカムカとする胃をさすり、痛む頭を無視しながら、白布は立ち上がり洞窟の内部へと歩き出した。
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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