能力 218 ページ20
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物事についてあることを証明しようとする時、可能だということを証明するより、不可能だと証明する方がはるかに困難だ。
「別に神を広めたいわけじゃない。でも、今回の事件はそうでもしないと説明がつかないんです。………そして、この事件はまだ終わっていない」
「っ…………な、なら、どうすればいいんだ」
Aの最後の言葉に村長はビクリと震える。
よし、ビビってる。このまま一気に祭りまでこじつけてやる。
「今回調査を進める中で、彼らは何かに怒っているのではないかと私たちは考えました。いかに神様とは言え、無差別に神隠しを行うなんてそうそうない。なにか、心当たりはありませんか?社を壊したとか、長年続けていた何かをやめたとか……」
Aの言葉に、村長は分かりやすくぴくりと跳ねる。彼女はそれを見逃さない。
「………あるんですね」
「馬鹿な……まさか、そ、そんなことで、怒るわけない!」
「それを決めるのは我々ではありませんよ。何があったのか、教えてくださいますか?」
優しく語りかけるようAはゆっくりと問いかける
村長は冷や汗をかきながら話してくれた。その内容はおおよそ予想がついていた通りであった。
Aはあたかも初めて聞いたように反応しつつ、村長を誘導する。
「………ふむ、確かにそれだけで神様が怒るなんて、少し不思議ですね……ですが、彼らはきっと
「……へ?」
「彼らはこの地を納め、そして天災や災いから村を守る存在です。そして、その行事はそんな彼らに感謝を示す場だったのかもしれません。………貰った想いは返すのが礼儀ですから」
Aがそう語りかけていると、外の様子が変化していく。先程までカラリと晴れていた青空が澱んだ灰色の厚い雲に覆われる。ゴロゴロと腹を立てるような雷が雲の中でコダマする。
今、この状況でその音を聞いた村長は、それらが神の怒りに見えてしまった。
「もし、このままだったら……………この村はどうなるんでしょうかね?」
Aのその言葉と同時に、ピシャーーーン!!!と空気を刺すような雷鳴と光が役場内を走った。
あまりの迫力に、村長は軽くちびった。
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです!友達にもおすすめしちゃった!! (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています!最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました!次回作、本当におめでとうございます!!とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています! (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます!!!めちゃくちゃ嬉しいです!!! (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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