能力 200 ページ2
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ある森に一匹の蛇が居た。
まだ生まれてまもなく、右も左も分からず、狩りも知らず敵も分からぬ可哀想な子蛇である。
母蛇は基本子育てを行わない。そして、蛇は本能と感覚で生きる動物で、狩りも大きくなるにつれて自然と身につくものなのだ。
しかし、その小ささまでは他の子らと一緒に居るはずの子蛇は一人だった。残酷なことに、他の子蛇らは食べられたのだ。
弱肉強食、仕方の無いこと。
その子蛇は死を覚悟した。
腹がすきすぎて動けず、開けている場所なため体温が低くなるのが分かった。段々と意識が薄れるのを感じながら子蛇は目を閉じた。
｢…………おや、可愛い子蛇じゃん｣
そう声がして、ふわりと自分の体が持ち上げられる感覚に、子蛇はハッと目を覚ます。鳥に食べられる！！と体を翻すも、あまりの空腹にその力も直ぐに尽きた。
｢しかも腹ペコ？｣
鳥かと思った奴は喋った。
だが子蛇にその意味など分かるはずもなく、なにか鳴いているそいつに食べられると言う恐怖でいっぱいだった。
｢ミミズ、ミミズ〜〜っと、この辺居ないじゃん。……ちょっと待ってな、今すぐなんか取ってくるから｣
子蛇には意味がわからなかったが、彼の纏ってる雰囲気やその行動から、食べようとしてないことは分かった。
｢ほら、ミミズだよ。君あのままだと死んじゃってたよ？俺が通って良かったね｣
子蛇の前に餌のミミズを垂らしてやれば、直ぐに食い付き器用にアグアグと腹の中に収める。
男はその姿を愛おしそうに見つめながら笑った。
子蛇はその奴を嫌だとは思わなかった。
すると、また男が口を開く
｢………お前、俺の使いになる？｣
子蛇にはその言葉の意味はわからなかった。
だが奴の言葉に敵意も悪意も感じられなかったので、ただじっと奴の目を見た。
｢ふふっ、見つめちゃってどうしたの。………嫌がらないんだね。お前｣
子蛇の嫌がることなど、一個もない。
｢素質あるよ、お前。きっといつか俺より強くなる｣
そう言い終わると、大将は子蛇に向かって軽く優しくふっと息を吹きかけた。
瞬間、子蛇の体は光に包まれ、次第にその輪郭は人の形に変わっていく。そしてあっという間に小さな子どもの姿へと変じた。
｢…………ぇ……｣
｢小さな小さな子蛇チャン、俺は大将優、お前のご主人様だ｣
それが、蛇、潜尚保と大将優の出会いである。
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サヤカ(プロフ) - いちばん、大好きです。こんなにも読み返した作品今までにないです。心無い言葉ではなく我々の感謝に目を向けてください。応援しています。 (2022年10月19日 16時) (
レス) @page50 id: 61500f37b5 (このIDを非表示/違反報告)
小鳥遊蒼 - すっごく面白いです！友達にもおすすめしちゃった！！ (2022年9月22日 17時) (レス) @page50 id: 9b1ede6104 (このIDを非表示/違反報告)
みや(プロフ) - ずっと応援しています！最高に面白くて、毎回更新されてないかなぁと見に来ていました！次回作、本当におめでとうございます！！とても読みやすくて、本当にHQ作品の中で一番好きな作品です。何回も読み直させてもらっています。次回作も楽しみにしています！ (2022年6月15日 16時) (レス) @page50 id: 68bcf78704 (このIDを非表示/違反報告)
甘納豆(プロフ) - 油揚げさん» いつもコメントありがとうございます。新作のコメントも読ませて頂きました。しかし、悲しいことに無意味な低評価が多くメンタルにも影響がありそうなので作り直させて頂きました。いつも本当にありがとうございます🙇♂️ (2022年5月18日 8時) (レス) id: f85dcebcdc (このIDを非表示/違反報告)
油揚げ(プロフ) - 更新ありがとうございます！！！めちゃくちゃ嬉しいです！！！ (2022年4月19日 9時) (レス) @page48 id: b66c454432 (このIDを非表示/違反報告)
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