能力 163 ページ14
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Aは傷だらけで倒れる岩泉を前に、現状が理解出来ずに居た。
｢……なんで｣
Aに目立つ怪我はない。精々擦り傷や掌の傷程度。
対する岩泉は意識がなく、体のあちこちから血を流し、右腕には何処かに引っかけたのかずるりと皮が剥けて皮膚が露になるくらいの傷が出来てしまっている。
そして一番酷いのは左足だった。彼の左足は酷く不格好になって、これは明らかに曲がる方向を間違えている。
これら全てが意味すること、それはつまり岩泉がAを命懸けで守ってくれたという事だ。
それを理解した途端、疑問や色々な思いが頭の中で渋滞を起こす。
そんな頭で一つ、確かにこう思う。優しい人ってのはこうやって誰かをただ助けられる人なんじゃないだろうか。
｢ごめんなさい。ありがとう………ありがとうございます。い……岩泉さん、お願いだから目を覚まして…」
Aの肩は震え、その両目からは涙が止めどなく零れ落ちる。しかし彼女はそれを拭わずただ泣き続ける。
そしてハッと思い出したかのように、岩泉の胸に耳を当てる。するとトクントクンと弱くではあるが心臓が鳴っている。その音色を聞いてAは酷く安心し、また涙が溢れた。
｢よかった、生きてる。大丈夫、まだっ｣
そう思えたら案外すぐに行動に移せた。Aはすぐに応急処置を施そうと腰を上げた
近場にあった木の枝を拾い、岩泉の左足骨折部の当て木として当て救急用に持っていた包帯で固定。
次にべろんと剥がれた皮膚。持ってきていた飲料水で軽く土や汚れを洗いできるだけ元の場所に当ててこれも包帯で固定した。
その他の傷口も血を拭き水で洗い流し、手持ちの軟膏を塗り大きな傷には絆創膏を貼った。
時々｢ゔっ……｣と辛そうに痛そうに声を上げる岩泉。それを見てAは彼はまだ死んでない、大丈夫だ、と思えた。
この包帯や軟膏は回復能力が効かないAが怪我した時に使おうと持っていたものだ。今彼女ができるのはこれくらいだろう。あとは無理に動かずここで助けを待つ。
そう思った時、
＿＿＿＿＿＿＿ガサリ、
明らかに風とは違う、
｢………｣
Aが気を張っていたのもあるが、その音は明らかにこの場では不自然であった。
そして彼女は音がした方をじっと見つめると、岩泉を後ろに庇い無意識に腰元に残る短刀を握った。
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空閑(プロフ) - 面白すぎていっきに読んじゃいました！続き楽しみにしてます (2020年9月28日 5時) (
レス) id: 3bb5fe966c (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - 久し振りの更新!!!!ありがとうございます!!!!面白い！続き気になる！それ故語彙力無くなる！すんません！更新頑張ってください！次も待ってます！ (2020年9月23日 20時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
KIKU(プロフ) - 好きなジャンルのものが続いてると嬉しいです！次も待ってます！ (2020年9月7日 0時) (レス) id: 7c9d0c9043 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか？ - うおーー！久し振りの更新ありがとうございます!!!!何ゆえ3人は襲われとるんや!?しかもヤバそう!?すっごく続き気になります！無理せん程度に頑張って下さい！楽しみに待ってます!! (2020年9月6日 20時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
冬桜(プロフ) - 今まで読んできたハイキューの小説の中で一番面白いです！更新頑張ってください！！ (2020年8月31日 22時) (レス) id: e2ae2aafdb (このIDを非表示/違反報告)
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