【HQ.怪談】 怖い本 下段

夏の思い出 ページ5

｢あの、これなんですけど……｣


どう説明したらいいのか分からず、取り敢えず本の表紙を見せた。影山君は1度見た事ある本の登場に少し驚いていた

すると宮水さんは


｢あぁ、これかぁ｣


まるでその本の存在を知っていたかのような口ぶりに驚く。この本について何か知ってるのだろうか？

しかし、宮水さんは私たちの反応を見て補足を入れた


｢いや、わしも本物は初めて見たんよ。でも神社やお寺の中では結構有名なんじゃ｣


そう言いながら、どれ見せてみぃ、と怖い本を手に取り表紙や中をペラペラとめくる宮水さん。

暫くして彼は何か確信を付いた様に息を吐いた
そしてこっちに顔を向け


｢やっぱホンモンじゃなぁ、、お嬢さんはどこまで読んだん？｣

｢…第八話迄です｣


そう答えると宮水さんは "なら良かった" と頬を緩めた。及川さんも聞かれ第九話だけ見たと答えていた



｢まぁ、こりゃぁ、色々扱いが難しいけぇのぉ｣


そう言いながら怖い本を机の端に置く
何の話だか分からないだろう影山君にはちょっと悪いけど、もう少し付き合ってもらおう……


｢一応お祓いも後でするっちゃけど、まずはこの本について言っといた方がええか？｣

｢あ、、お願いします｣


恐ろしい思いもしたし、知るのは怖いけど……やっぱり知らないと気が済まない



｢まず、この本なんやけどな、簡単に言えば呪術道具の一つなんよ｣


呪術道具？あまり聞くことの無い言葉に戸惑う
でも呪術という事は呪いとか怖いものなのだろうか？


｢あ、言っとくけど、呪術ってのは一辺とうに呪いと言うより、うーん、、呪力とか自然の力を借りて現象を起こす……言わばおまじないみたいなモンやけぇな？｣


私の思ったことを分かったようにそう言ってガハハと笑う宮水さん


呪いではなくおまじない？でも、、んん？？
私はよく理解できなかったが話に真剣に耳を傾ける


｢まぁ、そのおまじないにも色々あってなぁ

雨乞いとかは善意の呪術、、白い呪術
逆に藁人形とかは黒い呪術、、邪術って言われとる｣


つまり、呪いにも色々ある……と、


でも藁人形とか、やっぱり呪いじゃないですかぁ…
そう心の中で叫んだ






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