【HQ.怪談】 怖い本 上段

夏の思い出 ページ33

マネ業にも少し慣れて午前中の練習が終わった


お昼は食堂のおばちゃん達が成長期真っ只中の選手達のためにバランスの良い料理を振舞ってくれる。


私は午前中使ったビブスを洗って干したりボトルを洗った後、マネの先輩に連れられて食堂に向かった


｢Aちゃん仕事覚えるの早い！凄いなぁ、、｣

｢ありがとう、でも、まだ見様見真似だから全然だよ｣


谷地さんとそんな話をしながら食堂につくと、腹ペコの選手達が美味しいご飯にガッついていた

大盛りのご飯を掻き込む姿は本当に見てて清々しい



食堂のおばちゃんから定食が乗ったトレーを受け取って空いてる席を探す


｢あ、あそこ2席空いてるよ！｣

｢なら、そこにしよう｣



谷地さんが見つけてくれた席に腰掛け、トレーを机に置く。そして、さぁ食べよう、、とした時



＿＿＿ﾋﾟﾛﾝ♪



｢……え？｣



ポケットに入れていた携帯の着信音が鳴る
しかし電源を切っていたはず……

私は不思議に思いながらも携帯を取り出した


｢……ビデオメッセージ……？｣


トップ画面には " 1件のビデオメッセージがあります " とタブが出ている



何だろう、親かな？と思いながらそのメッセージをスライドさせて表示する

しかし、ビデオが始まるも画面は真っ暗なままだ


｢………あれ…｣


その真っ暗な画面を見て怖い本で読んだあの話が脳裏に浮かび、そんな訳ないのに少し身構える




その時、






｢……Aちゃん？｣

｢えっ、、｣



いきなり名前を呼ばれ、はっと顔を上げる
声のした方を見ると谷地さんが不思議そうに首をかしげていた



｢大丈夫？……ご飯冷めちゃうよ？｣

｢……え、、あ、ごめん！｣


ふと時計を見ると、メッセージを見始めてから10分も経っていた


私は慌てて携帯の電源を切ろうと画面を見た。そしたら携帯の画面は真っ黒ではなく、何事も無かったかのようにいつものホーム画面になっていた


真っ黒な画面から何もいじってもないのに勝手に戻っていて少し怖かったが、そのまま電源を落としご飯を食べ始めた








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