【HQ.怪談】 怖い本 上段

第八話 起きろ ページ27

そんな考えが頭をよぎる


どうしよう、どうしよう、怖い。
体は動かないし声も出ない、仕舞いには知らない兄ちゃんまでやって来た


｢蛍？居るんだろ〜？返事しろよ〜｣


俺の熱の事を知らないような素振りで話す兄ちゃん。声は兄ちゃんなのに、兄ちゃんじゃない、、、一体誰？？


そして段々と足音は俺の部屋へ近づいてくる



俺はもう考えるのも疲れて寝たフリをかました
咄嗟に目をつぶった時、ドアノブがガチャと音を立てた



｢あれ、蛍まだ寝てたのか〜｣


そう明るく言ってベットの傍まで歩み寄ってくる兄ちゃん。近づいて来ると少しヒンヤリとしか空気が頬を撫でる


その言葉を聞いて、この人は兄ちゃんじゃないと確信した


目を瞑りぼーっとした頭で思う……この人は誰？



｢おい、蛍ぃ、、、起きろよ〜｣


そう言って俺の体を揺らす
俺は不自然にならないように目を瞑る


｢おい〜、蛍、起きろよ〜？｣


何度もそう呼びかけて来る……その時、、









.









｢………あー、、もしかしてバレてる？｣




心臓がギュッと掴まれたような恐怖
その声は淡々としていて冷たい




｢はぁ………ま、いっか、、、おやすみ、、蛍君｣




そう言って兄ちゃんの手が俺の頬に触れる
人とは思えないほど冷たい手に驚きながらも意識が遠のいた







.









.









｢ただいまｯ！！蛍ｯ！！大丈夫か！？｣



段々ハッキリしてくる意識の中、ドタドタと兄ちゃんの足音と声が聞こえる

それを聞いて本当の兄ちゃんなんだと安心した





あの兄ちゃんは……一体誰だったんだろうか？
もしあの時起きて返事をしていたらどうなっていたのだろうか？

それは今でも分からない。









終

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