夏の思い出 ページ20
「あ、あの……」
「ッ!……は、はい」
恐る恐る声をかけると、体をビクつかせてこちらを見る。怖がらせてしまった。
そして私は言葉を続ける
「研磨さん…ですよね?」
「……そ、そうです、ケド」
なんともたどたどしい会話だろうか
仕方ない、だって多分二人ともコミュ障だ←
私は前置きも要らないかな?と思いそのまま直球で本題に移った
「青い野球帽……ってなんか、見覚えありません?」
「……は?」
研磨さんは目を見開き、ありえないとでも言いたげな表情でこちらを見る
「その、ですね……」
「待って、」
「はい……」
私がリュックに手をかけながら続けようとすると、研磨さんは私の言葉を止めた。そして
「その話に"クロ"って人も…出てくる?」
その一言で分かった
この人は男の子の言ってた研磨さんなんだ、と
私は力強く頷いた
「……なら、クロも連れくる。待ってて」
そう言って研磨さんは立ち上がり走っていった
.
暫くして、研磨さんとクロさんと思われる人が息を切らしながら帰ってきた。急いできたのだろう
「おい、お前、青い野球帽って」
「え、あ、ちょ…」
クロさんは動揺しながら私の肩を掴み、そしてガダガダと揺らす
「クロ、やめて。…その子怖がってる」
「ッ……あぁ……すまん」
「い、いえ……」
私は少し驚きはしたものの大丈夫だと返した
そして、リュックに手をかける
「実はさっき、ある男の子からこれをあなた達に渡して欲しいって言われて…」
そう言いながら青い野球帽を差し出す
クロさんがその帽子を手に取る
すると二人はある部分を見て目を見開き、段々と顔を歪ませ、、、ポロポロと涙を流し始めた
「その、子供って……いくつくらいだった?」
「……確か10歳、、くらいだったと思います」
「……おれ達のこと、なんて呼んでたの?」
「"クロと研磨に渡して欲しいの"って……言われました」
クロさんと研磨さんの質問に答えながら二人を見守る
「っ、…は、これ…あいつのだよ。……なぁ、研磨」
「うん……この文字、描き方……間違いない」
二人はそう言いながらポロポロと涙を流し続ける
そして、二人は私の方に向き直って "ありがとう" とお礼を述べた
「別に私は、何も……!」
「ううん、本当にありがとう。君のおかげでまた、幼馴染に……りゅうまに会えたから」
そう言った研磨さんとクロさんは微笑んでいた
.
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煌(プロフ) - 色の本シリーズの作品作ってる方初めて見ました!更新楽しみにしてます! (2020年4月2日 14時) (レス) id: ca10bf24cf (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きな甘党 - 色の本シリーズこの間図書室で見つけて読みました!面白かったです! (2019年11月17日 17時) (レス) id: ea092a75bc (このIDを非表示/違反報告)
青兎 - ホラーがものすごく怖いのに続きが気になって見てしまう〜!! (2019年8月22日 14時) (レス) id: d50d29b004 (このIDを非表示/違反報告)
なーな@きゅうり(プロフ) - やばいめっちゃ怖い(私もホラーダメだけど見たw) (2019年8月21日 13時) (レス) id: 3e3ede44b2 (このIDを非表示/違反報告)
みぃむぅ(プロフ) - あぁ怖ァあ!!(ホラーダメなのに見る) (2019年8月17日 23時) (レス) id: 292ec018f1 (このIDを非表示/違反報告)
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