第五話 墓参り ページ15
《第五話 墓参り》
これは俺が中学校3年生の時の話だ
高校受験の勉強に追われ、お世辞にも頭が良いとは言えない俺の成績を必死に上げていた夏休み
あまりにも元気の無い俺に気遣ってか父と母がお盆も近いし気分転換にお墓参りに行こう。と言い出した
気分転換に墓参りなど笑えないが、勉強をするより断然マシだった俺はすぐ行くと返事をした
次の日、
その日は朝から雲ひとつない快晴で風も全く吹いていない。日陰から出たら干からびるんじゃないかってくらい暑い
うちの墓は山の中にあって、駐車場から墓まで細い山道を登る必要がある
しかも、
｢あー…もう、父さんが寝坊するから…｣
｢飛雄も寝てただろ〜！｣
俺達が山道を歩いていたのは一日のうちで一番暑い時間帯だった。理由はまぁ……そう言うことだ
暫くして、墓まであと少し…という所で母さんが声を上げた
｢あ……やだ。ライター車だわ｣
ライターが無いとお線香に火を付けられない
母さんは "二人とも先行っといて！" と慌てて今まで来た道を掛け下りる
すると、今度は父さんが声を上げる
｢あー、あいつ…車の鍵持ってないぞ｣
そう言って父さんも母さんの後を追って山道を掛けおりた。結局俺一人で先に墓に向かう事になった
到着すると、俺は早速バケツの水をスプーンみたいなヤツ(ひしゃく)で墓に水をかけた。
でも日光を浴び続けた墓は凄く熱くて、かけてもかけても水がすぐに乾いてしまう
結局、バケツの水を全部かけても墓はまるで全然水をかけてないみたいに乾いていた。
丁度そこに父さんと母さんがやってきた
｢あれ、まだ水かけてないのか？｣
と言うので、からのバケツを見せながら説明するも全然信じてくれない
｢ホントだよｯ！｣
｢またまた〜、水こぼしたんじゃないのかー？｣
｢ｯ、嘘じゃねぇし！！｣
仕方が無いので、俺はもう一度駐車場にある水道で水をくんできて二人の目の前で水をかけた
すると、さっきと同じ様に墓石の色は変わらず乾いたままだ
水が蒸発すると言うより、吸い込んでるような感じにも見える
それを見た父さんが今度は自分で水をくんできて墓にかけた。それでも乾いたまま
結局、俺と父さんでバケツ6杯分くらいの水をかけて、やっと墓石の色が変わった
もう、汗びしょびしょだ
俺達はお線香とお供え物をして手を合わせる
そして帰ろうとした時
＿＿＿"ありがとう"
そう聞こえた気がした。
終
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
煌(プロフ) - 色の本シリーズの作品作ってる方初めて見ました！更新楽しみにしてます！ (2020年4月2日 14時) (
レス) id: ca10bf24cf (このIDを非表示/違反報告)
二次元好きな甘党 - 色の本シリーズこの間図書室で見つけて読みました!面白かったです! (2019年11月17日 17時) (レス) id: ea092a75bc (このIDを非表示/違反報告)
青兎 - ホラーがものすごく怖いのに続きが気になって見てしまう〜！！ (2019年8月22日 14時) (レス) id: d50d29b004 (このIDを非表示/違反報告)
なーな@きゅうり(プロフ) - やばいめっちゃ怖い(私もホラーダメだけど見たw) (2019年8月21日 13時) (レス) id: 3e3ede44b2 (このIDを非表示/違反報告)
みぃむぅ(プロフ) - あぁ怖ァあ！！(ホラーダメなのに見る) (2019年8月17日 23時) (レス) id: 292ec018f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
