黎明の扉 (ページ14)

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聖書ページ14

時に。

人間とは、他の生物より多くの知性を持つ生き物だ。

知性は何かの生物が阿呆な女を唆し、女が、禁断の果実…そう、知恵の実を食べたのが理由だとか言う話があったりする。

神は、女ともう一人が、罪のある状態で〝永遠の命を得てしまわぬように〟と、彼女達を追放したそうな。

……諸君は気付いただろうか？この話には男と女がいて、罪と無垢があり、無と有があった。

ならば〝知恵に対するもう一つの禁忌〟があるはずではなかろうか。

神は、万物を対に創る癖がある。

自分が完璧だからか否か、欠けた何かを創ったとき、その余りで何かを創りたがる。

その結果が我々だ。

際限の無い進化を遂げ続けるための知性を得た空の民と、永遠の命たるものを得た星の民。

空の民と言うものは、それはそれは好奇心が旺盛で、愚かなほどにチャレンジャーである。

対する我々星の民は、一部例外を除きチャレンジ精神とやらを捨ててしまったかのように停滞を望む。

高い知性に唆され得た知識の断片。愚かな土塊の男女。その子々孫々の全て。

それに対する男女がいたはずだろう。

『私は私の好きな事をしているだけだよ』
『黙って考えるだけなど、心底くだらん話だ』

そう言った男女がいたはず。

いいや、いたのだ。

だが、仲睦まじく過ごした彼と彼女と違い、その男女は仲を違えた。

簡単な話だ。片方は終わりを望み、片方は終わりを望まなかった。

たったそれだけなのだ。