反芻 ページ34
どうすれば――
「お前達……」
熱くなった言葉を漏らす。
部下達が振り向いて、そして私の顔を見て目を見開いた。
「A様――」
どうされましたか、と言われるよりも前に、私は首を振った。
「すまない、大丈夫だ。仕事を続けてくれ」
少し外の空気を吸ってくると席を立てば、部下の何人かが心配そうに「やはり体調が…?」などと傍に来た。
「お前達が案ずることは無いよ」
大丈夫。
そう言って扉を開け、外へと続く廊下を渡る。
外は相変わらずの光景で、見える光景も相変わらずで、やはり何も変わっていない。
誰もいない外廊下の石柱に背を預け、空を見た。
蒼が眩しいその場所は、星の世界を持ってしても届かないほど遠くにある。
「……」
私は顔を顰めた。
それは何も、自身の頭に渦巻く思考のせいだけではない。
原因不明の不調。
周囲への認知の歪み。
彼等との関係。
「不快だな……」
その全てが?
「……いや」
それらの枠組みを作った神が、だ。
自問自答を繰り返していなければ発狂してしまいそうな程に腹が立つ。
これをルシファーに言ったところでいつもの返答しかされないのだろうが、あぁ、彼にこの情緒の変化を教えたい。
私は石柱にもたれ掛かりながら、ずるずるとその場に座り込んだ。
人の気がないのを良い事に、決してお育ちがよろしいとは言えないような座り方で。
「………」
本当、どうしたものか。
36人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
*Reno(プロフ) - かえでさん» 面白いとのお言葉ありがとうございます。フリーダム系妻面主人公(?)をこれからもゆったりよろしくお願いいたします! (2020年2月3日 6時) (レス) id: e0ad1dc33e (このIDを非表示/違反報告)
かえで - すごく面白いです!主人公ちゃんがかっこいい..。続き楽しみにしてます。 (2020年1月27日 17時) (レス) id: 07d90d10b2 (このIDを非表示/違反報告)
*Reno(プロフ) - うささん» 生存報告ありがとうございます。最近ますます寒くなってキレ散らかす頻度が高くなりました作者です…。楽しみにしていただき嬉しい限りです。ゆっくり更新ではありますが、これからもよろしくお願いします(´V`) (2019年12月26日 19時) (レス) id: e0ad1dc33e (このIDを非表示/違反報告)
うさ - 更新お疲れ様です。私も寒さにキレ散らかして仕事に行ってます....。ルシファー大好き人間なので楽しみにしております。 (2019年12月26日 2時) (レス) id: ef6ea16959 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:*Reno | 作成日時:2019年7月11日 2時