黎明の剣

霙 ページ14

探索を開始してから、早一時間ほどが経った。

特にこれと言った新種の動植物が見付かるような事はなかったが、途中途中に木々が拓け草原が続いているような場所を見付けた。

｢この場所に家を建てたい｣

｢お前は何を言っているんだ？｣

｢良いじゃないか。人里離れて暮らすのが、私の夢なんだ｣

｢……｣

相変わらずつれない反応のルシファーは、はぁ、と短い溜め息を吐いて佇んでいる。

｢ねぇ、ルシファー。此処に家を建てよう。ほんの少し大きめで、そうだなぁ……家族で暮らせるくらいの物を｣

一方的に私が話し出すのは、今に始まった事ではない。

故にルシファーは黙ってそれを聞き流しているし、多分、研究所に戻った後の仕事の段取りでも考えているのだと思う。

勿論彼が自由に思考に耽る分、私も自由に勝手に喋る。

いいや、本当、この関係がとても楽だ。

人に合わせて喋るととんでもない労力を掛けてしまう。

諸君の周りでは、きっとそうも出来ないだろう？残念だったな、君達が私の部下ではなくて。

もし君達が私の管轄下に居たならば、もう少し自由で有意義な生活が出来るだろうに。

……いや、決めつけるのは頂けないか？諸君は今の人生で満足している可能性もあったね。





｢何を一人で笑っている｣

｢ふふふ、さてルシファー！今度は向こうに行ってみよう。今までとは木々が違う。何かいるかもしれない｣

｢…はぁ……。おい、あまり走るな。泥に足を取られるぞ｣

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