Labradorite (ページ2)

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「慎太郎、体調悪くない？」

「ん、だいじょ、ぶ」
朝起きたら一番最初にすることは慎太郎の体調チェックだ。熱計って、血圧測ってと一通りのことをする。貧血気味でもあるから目線を合わせて、ちゃんと焦点が合ってるかどうかも見たりする。

「大丈夫そうだね、朝ごはん食べに行こうか」

「ん。」

短く返事をした慎太郎は膝をついて手をついて、所謂ハイハイをして動こうとする。
長年の癖は中々抜けないが、全部介助していたらいつまで経っても1人で出来ないのでいつも最初は見守ってみる。
調子がいい日は立って歩こうとする日もあるんだよ。
でも、今日はちょっと無理そうなのでしゃがんで慎太郎と目を合す。

「慎太郎、どうやって移動するんだっけ？」

「ん、たって、ある、く」

「そうだったね、ちゃんと分かってるもんね」

頭の中では分かってても、出来ないこともある。だから、なるべく否定的な言葉はかけたくなくて、まずは肯定してあげることを意識していた。

「じゃあ、立つよ」

声をかけ、手を取りゆっくり一緒に立ち上がる。
そして、足から力が抜けてしまって崩れ落ちることも考え片手は腰の辺りの服を持ち支えながらゆっくり1歩ずつ1歩ずつリビングまで歩くのが日課だ。