脇役である者。 (ページ9)

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9.関わりたくないページ9

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「さかたせんせー！どうやってじょうずにふるのー？」
「んあ？そんなの簡単だよ。目の前に自分の敵がいるって思えばそれでいいんだよ」
「てき？ぼく、てきいないよ」
「じゃあ、仮〇ライダーの悪役が目の前にいてそいつを倒してみろ」
「こうっ？」
「おう、いいぞ」

剣術体験が始まって暫く。
正直、大丈夫かと心配したが杞憂だったようだ。意外にも、指導の仕方がうまく皆楽しそうに質問をしては実践していた。眼鏡の少年と、チャイナ服の少女もそれぞれ手助けに回っていた。

「いいアルか？目の前に税金泥棒を倒すためと思ってやるネ」
「ぜ、ぜいきんどろぼう？なにそれ」
「私たちから勝手にお金を抜き取っていく奴のことネ。お前のマミーやパピー達もお金取られてるネ」
「う、うそっ？！ひどいっ」
「そうネ。だから、この剣はそいつらを倒す時のためにちゃんと練習しておくよろし」
「うんっ！！」
「神楽ちゃん…あんまり変なこと教えないで…」

……うん、なんか良くないことを教えているような気がしてならない。気合いを入れるには良いんだろうけど、まだ純粋で何でも覚えちゃう子供にまだ教えて欲しくない言葉だよ。
ちなみに、私はというとその3人から距離を置きながら耳だけあっちに向いてる状況である。
あっちは、自分には気づいていないようだった。

「……これなら大丈夫そうか」
「すずみやせんせっ！」
「うへっ？！ど、どうしたの？」

あんまり大きな声で名前を呼ばないで、バレるからっ…！！と、心の中で叫ぶ。
一応まだ帽子を被っているが、声すらも覚えていたら最悪だ。

「あのおにいちゃん、まえのおにいちゃんだよね？」
「っえ、ど、どうだろ～…あはは」
「おーいおにいちゃーん！」
「ちょっ…！！」

手をぶんぶんと振って呼ぼうとすらさとしくんを止めようとするも遅く、こちらに気づき向かってきた。
今だけ、子供の純粋さを恨んだ。

「あ？公園時のガキか。あ、もしかして先生も前の？」
「さ、さぁ…」
「そうだよ！」
「さとしくんっ…！」
「すずみやせんせーっていうの！ぼくはさとし！」
「ふーん」
「……」

苗字まで言われ、まじまじと見つめられる。
最悪だ、最悪すぎる。こんなにもあっさりと、主人公に苗字がばれてしまうなんて。

「んま、とりあえずよろしく。ていっても、今日だけかもしれねぇけど」
「……よ、ﾖﾛｼｸｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ」

よろしくなんて全くもってしたくない。