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11.からかうなんて悪趣味 ページ11



そう言って、悲しそうな顔をして下を向く主人公。
え、主人公ってこんな落ち込みやすい性格だったの?
こんなに感傷しやすい性格なの?
私は、内心焦っていた。それと同時に申し訳なさに襲われた。
今目の前で落ち込む彼は、大人のはずなのにどこか子供に見えてしまった。


「……ご、ごめんなさいっ!
確かに、私も警戒してました…でも、まさかそんなに傷ついてたなんて…あの、ほんとに、ごめんなさい」
「……」
「あ、あの何とお詫びをしたらよいのか…うぅ…」

もう、主人公なんてこと忘れていた。
ただ、どうしたらいいのかと焦っていた。
その時だ。

「……っくくくっ…」
「…へ?」

間抜けな声が出た。
彼はお腹を抱えながら、まるで…


まるで笑いを堪えているようだった。

「はっ…?」
「くははははっ!ひー、ひー…ふ、はははははっ」
「な、な…」
「あー、あー、おもしろ。まさか、こんなあっさり引っかかるなんてなぁ」
「なっ?!」

からかわれていた。
途端に顔が赤くになっていくのがわかった。

「いやー、こんなにあっさりとはなぁ。新八達ですらも引っかかるか怪しいのにさ。あ、もしかして銀さん俳優行けるんじゃね?いっそのこと俳優になっちゃう?」
「…っ!からかったんですかっ!」
「へ?いやぁ、別にぃ。からかったっつても、警戒されてんなって思ってたのはほんとだし。つーか、あんた俺の演技に騙されちゃうなんて、危ねぇよー」
「余計なお世話ですっ」
「でも、警戒してんのはほんとだろ」
「……」

何も言えない。
警戒していることを認め自白してしまうなんて、私は馬鹿なのか。しかも相手はその張本人、主人公。

「なんで?なんで俺のことそんなに警戒してんの?
会って間もないし、俺特に警戒されるようなことした記憶ないし」
「……詳しいことは言えません。
でも、強いて言うなら私の為、です」
「へぇ」
「安心してください。貴方に危害を与える気は一切ないですから。ただ貴方が私に関わってこなければいいだけです」
「おい、それは普通に傷つく」
「…失礼しました。でも、貴方が私に関わる理由がありますか?」

ただでさえ、主人公と脇役。
その地位は天と地くらいの差がある。
それに脇役はただでさえ目立たぬうえ、関わり合うことすらない。街中ですれ違うくらいである。
すると、答えは予想外であった。


「……似てたから?」

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作者名:朝顔 | 作成日時:2021年3月1日 18時

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