肆拾壱 ページ41
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伊黒小芭内side
姉様は美しい。
それはもう、街を歩けば貢ぎ物を差し出される程には美しい。
彼女が俺に「一生をかけて守る」と言ってくれたあの日、俺もまた、生涯彼女を守り抜こうと誓った。
だから、最近の姉様を見ていると肝が冷えるのだ。
来年で姉様は二十歳を迎える。
これを機に彼女を自分のものにしてやろうと陰で目論む輩が多すぎる。
…鋼鐵塚蛍とやらは正面突破で来ているが。
そんなことはどうでもいい。
狙う奴らの数は、この屋敷に訪れる隊士達だけでもほんの一握りだ。
まぁ、俺が
真面目に稽古を受けに来たわけでもない下心丸出しの塵屑は門をくぐる前に俺がその心を折っておいた。
あまりにしぶとい奴は腕を折ったこともあったな。
…これは姉様には秘密だ。
＿＿＿＿＿＿
＿＿＿＿＿＿＿＿
ある日、任務先で怪我をして藤屋敷に運ばれた俺を、A姉様が見舞いに来てくれた。軽い怪我だと分かると息をついて安心していたな。
姉様は俺が怪我をすると必ず、おまじないをかけてくれる。
不思議なことに、痛みが引いていくのだ。
添えられている手が暖かくて、俺はこの時間が好きだった。
並んで藤屋敷の廊下を歩いていると、急に姉様が道を引き返す。
何事かと慌てて後を追うと、そこには三人の隊士と、それに向かって立つ姉様の後ろ姿があった。
怒っていた。
静かな怒りだった。
俺は今まで、彼女がこれほどまでに怒っているのを見たことがなかった。
あの三人は、一体何をしでかしたのだろうと思った。
彼女はこう言い放った。
『お前らよりも強く力に貪欲で努力を惜しまない獪岳に、お前らが口を出す資格などない。
自分の部下を語彙力の欠片もない言葉で、本人のいない所で、本人に聞こえるように罵倒して、一体何様のつもりだ？恥ずかしくはないのか？
獪岳は馬鹿か？愚か者か？ならお前らは天才なのか？もしそうだとしたら私は心底お前らを哀れに思うよ。
天才には限界がある。
馬鹿や愚者にはそれがないからな。
…どうやらお前らはもう限界のようだ。落ちぶれていくばかりだ。いない方がいい。鬼の糧にでもなんでもなればいい』
三人は言い返すことも無く、舌打ちだけを残して去っていった。
姉様がそれを気にする様子はなかった。
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Kさん - なんかこの作品のおかげで小芭内のこと好きになったわ.....この作品好きぃぃ！！ (6月14日 20時) (
レス) @page36 id: 91d89c4fce (このIDを非表示/違反報告)
廣岡唯 - 面白い続きが観たい… (2022年11月5日 11時) (レス) @page14 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
カド松(プロフ) - 彼女、気づいたら痣だらけになってそう (2020年11月14日 19時) (レス) id: 8d052b9284 (このIDを非表示/違反報告)
咲拉(プロフ) - お返事ありがとございます!M2様の文は個性豊かで面白い所も皆様に刺さるポイントだと思っています。これからもM2様らしいコミカルさも折り込まれた作風を楽しみにしています!真摯に対応して頂いてありがとございました。今も大変かと思いますが、体調気を付けて下さい。 (2020年4月21日 13時) (レス) id: 94dbf7702a (このIDを非表示/違反報告)
M2(プロフ) - 咲拉さん» 読み返してみると結構拙い文が多いですね…申し訳ないです。今度リメイクしてみようと思います！有難く参考にさせていただきますね！ (2020年4月21日 0時) (レス) id: ca371dd3e9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M2
| 作成日時：2020年1月11日 13時
