恐ろしいのは遠ざかる背中 ページ2
オレの腕を引いていた、額に青い死ぬ気の炎を灯した少年が、ロン毛の恐ろしい男に斬られてビルのガラスに突っ込んだ。目の前で血を見て身体が固まる。そんなのはお構いなしにロン毛はオレに目をつけて、こちらに近づいてくる。
「このガキとはどーゆー関係だぁ？ゲロっちまわねーとお前を斬るぜ」
怖い、逃げなければ。でも、蛇に睨まれた蛙みたいに動けない。どうすれば____と、考えた時。
「ツナ、後ろにいて」
「…あ゛ぁ？てめぇは…！！」
オレを背に庇うように、鈴兎がロン毛とオレの間に割り込んできた。安心感でオレの身体がふっと自由を取り戻すと同時に、ロン毛が大きく動揺したのがわかる。
「ゔお゛ぉい…何のつもりだぁ？叩っ斬られたくなきゃそこを退けぇ！！」
「ひぃ！！」
さっきまで余裕の笑みさえ浮かべていたロン毛は、邪魔が相当気に食わないのか、恐ろしい顔をして鈴兎に怒号を浴びせた。当然というか何というか、ビビるオレに対して鈴兎はまったく怯まない。どころか、綺麗な営業スマイルをして上のほうにちょいと指を向けた。
「危ないですよ？」
「なに？…！」
ロン毛の上には、獄寺君のダイナマイトが迫っていた。大きな爆発で、避けたロン毛は離れる。山本と獄寺君が名乗りをあげて、ロン毛の意識は完全にあちらを向いていた。
「よ、っと。立てそう？うへーバッサリいったなあ」
「っ…戦ってはなりません！おぬしらの敵う相手ではない！拙者が…」
「う、動いちゃダメだ！！」
「血ィ足りなくなるぜ」
鈴兎が抱き起こした彼はひどい怪我だった。それでもまだ意識はあり、なおもロン毛の相手をする気なのか、飛び出して行こうとするので必死で止める。
こんな時に、リボーンはどこに行ったんだ？見回してもスーツの赤ん坊は見当たらなかった。
剣使いのはずのロン毛が火薬で爆発を起こし、山本は倒れてしまった。それを見てダイナマイトを構えた獄寺君だったが、煙の中から現れたロン毛にダイナマイトの導火線を斬られ、そのまま強い蹴りで地に叩き伏せられた。
「山本ぉ！！獄寺君！！」
こんなにも簡単に、オレが強いと思っていた二人が倒されるだなんて。目の前の光景が信じられなかった。
「ゔお゛ぉい、話にならねーぞぉこいつら」
どうしたら。死んどけ、と振りかぶられた剣が獄寺君に迫る。
その時、鈴兎が瓦礫の破片を拾うのが視界の端に見えた。
ギィンッッッ！！！
ロン毛の剣が弾かれる。鈴兎は駆け出していた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 33人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
卯月伍(プロフ) - 暁月臨さん» ありがとうございます！下手すると数ヶ月とか挟んで急に投下するスタイルですが、続きを待っていてくださる方がいると思うとモチベが上がります！ (12月21日 20時) (
レス) id: cac572832d (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - めっちゃ好きです…！続き待ってます！！ (12月12日 14時) (レス) @page30 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：卯月伍 | 作成日時：2020年11月14日 12時
