もしもし、いまイタリアにいるの ページ10
「失礼いたします」
イタリアの某所、独立暗殺部隊ヴァリアーの拠点。リーダーであるXANXUSと幹部が集う薄暗い部屋に、一人の隊員が入室した。
「日本に渡ったスクアーロ様よりご報告です。門外顧問の犬が沢田綱吉に接触し、遠目ですがハーフボンゴレリングを確認したとのこと。番犬と同盟キャバッローネの跳ね馬に阻まれ、リングの奪取は見送ったそうです」
静かな室内に隊員の声が響く。その報告内容を聞いて、幹部たちはそれぞれ反応を示した。
「やーっぱりリングじゃん。ほんと鼻が効くよな、スクアーロのやつ」
「跳ね馬め、同盟の分際でいちいち首を突っ込みおって！」
「やだぁ、番犬ってウワサの子でしょ？本当にいたのねぇ、お邪魔虫だこと」
「ボス、どうする？直接狩りに行くかい？」
マーモンの問いかけで、室内は再び静寂に包まれる。決定を仰ぐべく、幹部たちがXANXUSに視線を移すも、彼は無造作に椅子に腰掛け、すべてを遮断するように目を瞑って沈黙していた。
幹部たちはただ待った。いつもこういう状態に陥った時、催促の声をかけるのは、現在ここにはいないスクアーロの役目だったからだ。そして決まって「うるせぇ」とグラスを投げつけられる。わかっていてXANXUSを苛立たせるような命知らずはこの場にいなかった。
「あれの調整は済んだか」
やっと口を開いたXANXUSが放った問いに、幹部たちは顔を見合わせる。問いかけを放置されたマーモンも同じくだ。あれ、の正体で思い当たるのは、先日幹部の一人として数えることになったゴーラ・モスカだが、調整というのは初耳である。
「明日には完了いたします、ボス」
XANXUSの問いに答えたのは、報告をしに来た隊員だった。
「試運転には立ち合われないとのことでしたので、すべて済み次第またご報告させていただきます」
「いらねえ。明朝、日本へ発つ。それまでに終わらせろ」
「かしこまりました」
XANXUSの急な決定に顔色ひとつ変えず、恭しく礼をした彼は、ボス補佐である。幹部ではないが、XANXUS直々に任命された特別な人間であった。
「…任されていたのは君か。入隊してひと月の新人だというのに、給料以上によく働くね、ミヤビ」
呼ばれてミヤビが顔を上げると、あまり似合わない縁無し眼鏡の奥に、印象的な黄色い瞳が覗いた。「仕事ですから」と微笑むさまは謙虚に見える。だがマーモンは、そんな彼の底なしの「食欲」を知っていた。
飢えた瞳。あれは、獲物に飛びかかる寸前の獣だ。
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卯月伍(プロフ) - 暁月臨さん» ありがとうございます！下手すると数ヶ月とか挟んで急に投下するスタイルですが、続きを待っていてくださる方がいると思うとモチベが上がります！ (12月21日 20時) (
レス) id: cac572832d (このIDを非表示/違反報告)
暁月臨(プロフ) - めっちゃ好きです…！続き待ってます！！ (12月12日 14時) (レス) @page30 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：卯月伍 | 作成日時：2020年11月14日 12時
